【完全版】インスタキャンペーン実施方法&禁止事項|景表法やガイドラインのポイントを解説

Instagramを運用している企業の中には、Instagramキャンペーンを実施したい・実施しているという企業様も多いと思います。認知拡大やフォロワー増加にも直結する施策のためメリットが多い一方、実施にあたっては法律違反やガイドライン違反によるアカウント凍結などにつながる可能性も。

そこで本記事では、企業SNS運用のご担当者様・管理者様に向けて、Instagramキャンペーン実施にあたっての注意事項や安全にキャンペーンを実施するための方法をご紹介します。Instagramキャンペーンに不安を感じている方はぜひお役立てください。

Instagramキャンペーンとは?

Instagramキャンペーンとは、フォロワー増加や認知度向上、販促などを目的として、Instagramの機能を活用して行われるマーケティング施策です。後ほどご紹介しますが、Instagramで実施する場合にはいくつかの種類があり、フォローやいいね、コメントなどを条件としてクーポンを配布したり、懸賞に参加出来たりするようなキャンペーンが多く行われています。

Instagramキャンペーンのメリット

ではそんなInstagramキャンペーンにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

1. 認知拡大につながる

1つ目は認知度向上です。応募特典や景品などを上手く活用してキャンペーンを行うことで、これまで接点の無かったユーザーにも企業やブランドの認知が広がり、新しいフォロワーの獲得やファン創出が可能になります。普段の発信だけでは届かないユーザーへも認知を広げられるのがInstagramキャンペーンの大きなメリットです。

2. ユーザーとのコミュニケーションを増やせる

2つ目はユーザーとのコミュニケーション増加です。キャンペーンをきっかけにフォロワーが増え、エンゲージメントが伸びると、相対的に他の投稿の発見欄やリールのおすすめなどでの表示が増えます。1つの投稿でより多くのユーザーに届くようになり、効率的に認知を広げることができます。

3. UGC(ユーザー生成コンテンツ)を増やせる

3つ目はUGC(ユーザー生成コンテンツ)の増加です。UGCとは企業が発信するコンテンツとは別に、ユーザーが自発的に作成した口コミ投稿などのコンテンツを指します。例えばハッシュタグを条件としたキャンペーンや投稿コンテスト形式のキャンペーンでは、自然とユーザー発信の投稿が増えます。こうしたUGCが増えることで口コミが自然に広がっていくので、広告費も抑えながら効果的に認知拡大を行うことができるのです。

Instagramキャンペーンは禁止?キャンペーン実施の注意事項

しかしながら、Instagramキャンペーンはどんな形式で実施してもOKという訳ではありません。

  • ・Instagramガイドライン
  • ・景品表示法
  • ・個人情報の取り扱い

この3つの観点からガイドライン違反または法律違反となり、アカウント凍結やコンプライアンス違反となる可能性もありますので注意が必要です。ここでは上記の3つの観点から、キャンペーン実施時に気を付けたい注意事項をご紹介します。

1. Instagramガイドライン

Instagramにはアカウント運用や投稿、キャンペーン実施時のガイドラインが定められています。ガイドラインには以下2つの種類があり、これらのガイドラインに違反しているとみなされた場合、アカウントの停止につながる可能性があるため、必ず遵守しましょう。

コミュニティガイドライン不適切なコンテンツやInstagramでの禁止行為に関する規程
プロモーションガイドラインInstagram上でプロモーション運営を行う際のルールや規約

キャンペーン時に気を付けたいInstagramガイドラインのポイントは以下の通りです。

エンゲージメントをお金や商品で買う・釣る行為の禁止

「いいね!」やシェア、再生、フォロー、クリック、特定のハッシュタグの使用などのエンゲージメントのために売買もしくは交換すること、またはそれを試みること。例えば次のようなものがあります。

  • ・エンゲージメントと引き換えに現金または現金に相当するものをプレゼントとしてオファーすること(プレゼントが当たるチャンスをオファーする。「このページに「いいね!」すると$500が当たる抽選に参加できます」など)。
  • ・エンゲージメントと引き換えに金銭的価値のあるものの提供をオファーする(「このページに「いいね!」した方に、iPhoneを差し上げます!」など)。
引用:コミュニティガイドライン|Instagramヘルプセンター

Instagramでは、いいねやフォローといったエンゲージメントのために売買を行ったり、プレゼントの機会をオファーすることは禁止とされています。この点を踏まえると「Instagramでのキャンペーンはそもそもガイドライン違反になるのでは?」と疑問を抱く方も多いと思います。そのため現時点でガイドラインを遵守して実施するには、

  • ・サンプルや体験など現金に相当しないものをプレゼントする
  • ・来店や他のプラットフォームへの遷移などエンゲージメントに関わらない範囲で行う

などの方法があります。

著作権の無断転用・転載禁止

弊社では、権利所有者や正式な代理人から送信される報告に基づき、以下に該当するコンテンツを削除または制限します。

  • ・著作権の侵害
  • ・商標権の侵害
  • ・偽造品の販売または宣伝
  • ・ブランドとの虚偽の提携関係
  • ・知的財産権その他の財産的権利のその他の侵害または妨害
引用:コミュニティガイドライン|Instagramヘルプセンター

上記の通り、著作権や商標権など知的財産権に違反するコンテンツは制限されます。例えばコンテストで寄せられたコンテンツを活用してキャンペーンを促進するという場合にも、投稿主に許諾を得たうえで活用・紹介を行う必要があります。

キャンペーンの合法的な運用と規約の作成

プロモーション(コンテスト、懸賞など)の案内や運営のためにInstagramを利用する場合、ページ作成者は、以下の事項を含めて、当該プロモーションを合法的に運営する責任を負います。

  • ・公式ルール
  • ・規約と資格要件を設定すること(年齢や居住地の制限など)。
  • ・プロモーションおよび提供される賞品や賞金に適用される規則や規制を遵守すること(登録、規制上必要な承認の取得など)。
引用:プロモーションガイドライン|Instagramヘルプセンター

キャンペーンは合法的に行うように規程が定められています。後述する景品表示法や個人情報取り扱いには注意し、法律に違反しない範囲で実施しましょう。またキャンペーンにあたって規約や資格要件を設定することも明記されています。実施にあたって応募規約の作成も忘れずに行いましょう。

Instagramのキャンペーン不関与の表明

Instagram上でのプロモーションには、以下を含める必要があります。

  • ・応募者または参加者によるInstagramの完全な責任免除。
  • ・プロモーションはInstagramが後援、支持、または運営するものではなく、Instagramとは関係がないことの表明。
引用:プロモーションガイドライン|Instagramヘルプセンター

上記の通り、実施するキャンペーンがInstagramの後援や支持を受けていない、また運営していないことを示すために、その旨を表記することが明記されています。

2. 景品表示法

続いて景品表示法でのキャンペーン実施時の注意事項を見ていきましょう。

景品表示法は一般消費者を保護することを目的に制定されている法律で、Instagramキャンペーン時にも注意が必要です。景品表示法で気を付けるべきポイントは以下の3点です。

不当表示の禁止

消費者に対して誤認させるような不当表示は、景品表示法で禁止されています。

  • ・実際のものよりも著しく優良であるかのように見せる
  • ・取引条件を実際よりも有利になるように偽って表示する

など消費者が誤認してしまうような表示は避けましょう。

景品類の制限及び禁止

景品表示法では、過大な景品に釣られて消費者がマイナスな影響を被らないために、景品に対する制限が設けられています。前提としてInstagramキャンペーンのような懸賞には、景品表示法の規制対象となる「クローズド懸賞」と規制対象にならない「オープン懸賞」の2つがあります。

規制対象概要
クローズド懸賞
対象になる
来店や商品・サービスの購入・利用などを行った際に応募できる期間中の来店でキャンペーンに応募、対象商品を購入した方がキャンペーンに応募
オープン懸賞
対象にならない
来店や商品・サービスの購入・利用なしに応募できる期間中Instagramフォロー&いいねした方の中から抽選で〇名に商品サンプルをプレゼント

このうち景品表示法の規制対象となるクローズド懸賞では、提供できる景品の限度額が定められています。Instagramキャンペーンでクローズド懸賞を行う場合は、景品の限度額に注意して景品を設定することが重要です。

取引価額景品類の最高額
5000円未満取引額の20倍
5000円以上10万

ステルスマーケティングの禁止

インフルエンサーを介してキャンペーンPRを行う場合は、ステルスマーケティングに該当しないように必ずPR表記を行いましょう。ステルスマーケティングとは、広告であることを隠して宣伝を行う行為のことで、2023年10月から景品表示法の規制対象となりました。インフルエンサーを活用した施策が増えているため注意が必要です。

3. 個人情報取り扱い

景品の発送を行うためには、住所や氏名、電話番号など個人情報を取得する必要があります。そのため個人情報の取得や取り扱いにあたっては注意が必要です。

  • ・個人情報の取り扱いに関して応募規約に明記する
  • ・DM等で直接個人情報を取得せず、セキュリティの確保されたフォームを通して取得する
  • ・取得した個人情報は漏洩を防ぐために適切に保管・管理する
  • ・キャンペーン終了後、不要になった個人情報は破棄する

など個人情報の取り扱いには留意し、安全にキャンペーンを実施できるようにしましょう。

企業が安全にできるInstagramキャンペーン5つ

ここまでご紹介してきたInstagramのガイドラインや景品表示法、個人情報の取り扱いに注意しながら、企業が安全に実施できるInstagramキャンペーンを5つに絞ってご紹介します。

1~4のキャンペーンは景品とエンゲージメントのやり取りが発生するキャンペーンのため、Instagramガイドラインに則ってサンプルや体験など現金に相当しないものを景品として実施しましょう。

1. フォロー&いいね

1つ目はフォロー&いいねを応募条件としたキャンペーンです。応募ハードルが低いためキャンペーンの参加率が高く、フォロワー獲得にも繋がりやすいのが特徴です。しかし一方で、ターゲット外のフォロワーが増えフォロワーの質が下がる可能性もあることを覚えておきましょう。

2. フォロー&コメント

2つ目はフォロー&コメントを応募条件としたキャンペーンです。フォロー&いいねと比べると少し参加ハードルは上がりますが、ユーザーとのコミュニケーションを増やしながらフォロワー獲得もできます。指定の絵文字をコメントするだけ、のようにコメント方法を工夫することで参加率を上げることもできます。

3. 投稿コンテスト

3つ目は投稿コンテスト型のキャンペーンです。フォトコンテスト形式でキャンペーンを行う企業も多く、キャンペーン実施によりUGCを増やせることがメリットです。一方で参加ハードルがぐっと上がるため、既にファンを獲得できているアカウント(コメント数が多い、いいね数が多い)では有効なキャンペーンと言えます。

他のキャンペーンが抽選で行われるのに対して、コンテスト形式は応募があった中から選ぶ形になるため、どのように選ばれるのかも規約に明記しておく必要があります。

4. ストーリーズシェア

4つ目は該当の投稿やストーリーズをシェアすることを条件としたキャンペーンです。投稿と同様少し参加ハードルは上がりますが、既にファンを獲得できているアカウントであれば問題なく実施できます。ストーリーズシェアはInstagramのアルゴリズムにほとんど関係なく見てもらうことができ、拡散力が強いのも特徴です。一方でシェアしてくれた方のリスト抽出に手間がかかるため、公正な抽選が難しいという点も押さえておきましょう。

5. 来店

5つ目はInstagramだけで完結しない「来店」を条件としたキャンペーンです。来店時レジにて「キャンペーン投稿を見ました」などと言ってもらえばその場で特典を受けられるといった形式です。来店していただいた=確度が高く質の高いフォロワーを獲得できるため、実店舗を持つ企業アカウントの場合にはおすすめです。一方で実店舗での手間が増えるなどデメリットもあるため、連携が必要となります。

Instagramキャンペーンのやり方5ステップ

では実際にInstagramキャンペーンを行う場合、どのように進めていけば良いのでしょうか?実施方法を5ステップでご紹介します。

1. キャンペーンの目的を明確にする

まずはキャンペーン実施の目的を明確にしましょう。「フォロワー増加」「新商品の認知拡大」「来店数の増加」など様々な目的が考えられます。キャンペーンの実施にあたってはチーム内はもちろんのこと、他部署を巻き込んで行う場合もあるため、何のために実施するのかを明確にすることが重要です。また目的設定に併せてKPIも定めましょう。KPIは定量的で達成有無がわかるものに設定しておくことが重要です。

2. 目的に沿った企画作成

目的・KPI設定が完了したら企画作成を行いましょう。先ほどご紹介したように、Instagramキャンペーンと言っても種類は多様です。目的に応じてキャンペーンの形式を決めていきましょう。

  • ■企画で決めておくと良い項目
  • ・キャンペーン形式
  • ・キャンペーン期間
  • ・キャンペーンで使用する景品
  • ・抽選方法/選出方法
  • ・応募方法・条件
  • ・当選通知方法
  • ・広告出稿の方法
  • ・キャンペーンの役割分担(誰が何を担当するか)

3. 投稿・広告の作成

企画が固まったら実際にキャンペーンで使う投稿や広告を作成しましょう。参加率を上げられるよう、要件をわかりやすく作成することが重要です。

4. 応募規約の作成

続いて応募規約の作成を行いましょう。応募規約には以下の要件を含めて作成しましょう。

  • ・応募規約
  • ・期間
  • ・景品内容
  • ・抽選方法・選考基準
  • ・当選の発表方法
  • ・景品の発送方法
  • ・キャンペーンにあたっての注意・禁止事項
  • ・個人情報の取り扱い
  • ・免責事項(責任の所在の明記)
  • ・問合せ先
  • ・規約への同意有無

各企業でキャンペーンが実施されていますので、他社の規約も参考に作成してみましょう。

5. キャンペーンの実施と効果測定

ここまで準備ができたら実際にキャンペーンを実施してみましょう。キャンペーン実施後は広告のパフォーマンス、参加率など効果測定を行い、キャンペーンの振り返りを行って次につなげることが大切です。

企業のInstagramキャンペーンで注意すべきポイント

ここまでInstagramキャンペーンの実施方法や注意点についてご紹介してきました。最後にInstagramキャンペーン実施時の注意点をご紹介します。

1. ガイドラインや法規制を遵守する

Instagramキャンペーンの実施にあたっては、今回ご紹介したようなInstagramガイドラインや景品表示法の遵守、個人情報の取り扱いなどを怠らないようにしましょう。今回ご紹介したようにキャンペーン実施にあたっての注意点が多いため、運用部署でミスなく安全に実施できるように、運用マニュアルやソーシャルメディアガイドラインに組み込んでおくことが大切です。マニュアルやガイドラインがない、または使われていないという場合には、現場で機能するように作成・見直しを行っておきましょう。

2. 応募条件によっては参加者が集まらないことも

本記事でキャンペーン形式をいくつかご紹介しましたが、応募条件によっては参加者が集まらず効果につながらないといったケースもあります。目的やアカウントの大きさ、普段の投稿のエンゲージメントなどを考慮し、適切なキャンペーン形式を選ぶことが大切です。

3. フォロワーの質が下がり、エンゲージメントが下がる可能性がある

フォロワーの獲得につながるキャンペーンは多いですが、一方で商品・サービスの検討見込みが浅い層が集まり、成果に繋がらなかったり、フォロワーの質が下がってしまったりする可能性もあります。フォロワーの質が下がることで投稿のエンゲージメントが下がる可能性もありますので、念頭において実施しましょう。

ガイドラインや法規制に気を付けて安全かつ効果的にキャンペーンを行おう

本記事では、Instagramキャンペーン実施方法や注意点などをご紹介しました。効果の見込めるキャンペーン施策ですが、実施にあたっては法規制やガイドライン遵守など注意すべきポイントがいくつかあります。キャンペーン時のルールを社内運用マニュアルやガイドラインに定めたり、チーム内で共有したりと安全に実施できる体制を整えてキャンペーン施策を行うようにしましょう。

企業のSNS運用にあたり、ガイドラインやマニュアルの見直しを行いたいという方は、【ソーシャルメディアガイドラインのひな形】をぜひご活用ください。安全なSNS運用を行うための体制を整えていきましょう。