企業のSNSブランディングガイド|成功事例とポイント6選

企業や商品・サービスのブランディングのためにSNSを活用する企業も増えてきましたが、ただ商品・サービスの紹介を行っているだけではSNSブランディングを成功させることはできません。
そこで今回はSNSブランディングの手順やブランディング成功のポイントをわかりやすく解説いたします。「ブランディングの為にSNSを使うことになったけど、何から始めたらいいかわからない!」というご担当者の方はぜひ本記事をお役立てください。

またブランディングでSNS運用されるご担当者様・管理者様向けに、SNS運用に必要な準備や運用体制づくり、炎上などトラブル対応・対策などを資料にまとめていますので、下記よりダウンロードしていただき、ぜひSNS運用のガイドとしてお使いください!

SNSブランディングとは?

SNSブランディングとは、SNSを使って企業や商品・サービスの発信を行うことでブランドイメージを浸透させる活動のことを指します。ブランディングにより、購入や導入を検討するタイミングで、企業や商品・サービスを第一想起してもらえるようになることと、購入の確率がぐっと高まります。

今、SNSブランディングに力を入れるべき理由

CMをはじめとした広告やWebコンテンツも有効ですが、近年ユーザー数が増え続けているSNSを使えば、より多くの潜在層にもブランドを知ってもらえる可能性が高まります。特にInstagramは国内アクティブユーザー数が、2019年から2023年のたった4年間で3300万人から6600万人まで増えており、若い世代だけでなく幅広い世代に利用されるツールとなっています。

以前はテレビや検索エンジンを使って行われていた情報収集も、現在はSNSで行うユーザーが増えており、こうした背景からも現代の企業ブランディングにおいては欠かせない存在になっていると言えるでしょう。

SNSブランディングのメリット・デメリット

ではここで、SNSブランディングを行う上でのメリット・デメリットをご紹介します。

メリットデメリット
コスト広告費を抑えられる運用コスト
(人件費・時間)
がかかる
拡散力ブランド認知が
広がりやすい
炎上リスクあり
効果測定がしづらい
ユーザーとの関係性UGC(口コミ)による
信頼獲得・売上増加
UGCの内容を
コントロールできない

SNSブランディングのメリット

  • ・広告予算を抑えられる
  • ・ブランド認知がより広がりやすい
  • ・UGCの増加による信頼獲得・購買促進も見込める

ブランディングにSNSを使う大きなメリットとして広告費を抑えられるという点があります。SNSは基本的に無料で使うことができるため、多額の広告予算をかける必要がなくなります。各SNSのユーザー数も年々増えているので、多くのユーザーへとブランド認知を拡大することも可能です。

またUGC(ユーザー生成コンテンツ)を増やしてブランドイメージを高めることも可能。ハッシュタグをつけて投稿してもらったり、アカウントをタグ付けして投稿してもらったりすることで、ユーザーからユーザーへとさらに口コミが広がり、ブランド認知を拡大していくことができます。

SNSブランディングのデメリット

  • ・SNS運用にコストがかかる
  • ・UGCをコントロールできない
  • ・炎上によりブランドイメージが低下する可能性も

投稿作成やインサイト分析などを継続的に行っていかないとSNSブランディングの効果は見込みにくいため運用コストがかかります。またSNSブランディングは効果測定自体難しく、「フォロワー数」や「インプレッション数」などの表面的な数字では成果がわかりにくいという特徴もあります。

またUGC(ユーザー生成コンテンツ)をコントロールしきれないため、思わぬ悪評が投稿された場合に意図しないブランドイメージがついてしまうことも。さらにSNSの投稿内容によっては炎上が起こり、企業のブランドイメージを下げてしまう可能性も孕んでいます。

SNSブランディングの手法とポイント

ではここから、SNSブランディング手法とポイントをご紹介していきます。

1. 伝わりやすいコンセプト

コンセプトがはっきりしているアカウントはユーザーにも覚えてもらいやすく、「〇〇と言えば◆◆」とイメージしてもらいやすくなるため、ブランディングは成功しやすくなります。「誰に向けて、何を伝えるアカウントなのか」を明確にすることで、ターゲットに興味関心を持ってもらえるようなアカウント作り・発信が可能になります。

2. 一貫性のある投稿発信

SNSブランディングを効果的に行うためには一貫性がとても重要です。一貫性とは、ターゲットに向けた特定のジャンルを軸に発信を行うことです。例えば化粧品のSNSアカウントなのに、おすすめの飲食店や旅行先といった別のテーマの投稿もしているとすると、商品を購入してくれるようなユーザーが集まりにくくなってしまうのです。

一貫性のある投稿発信を行うために、デザイン表現や表現のトーン&マナー、写真・イラスト表現などをまとめた「ブランドガイドライン」を作成しておくこともおすすめです。ブランドガイドラインなどを定めておくと、投稿発信が属人化せず、運用チームとして一貫した投稿発信を行うことができます。

3. ハッシュタグ・フォロワーキャンペーンの実施

ハッシュタグキャンペーンやフォロワーを対象としたキャンペーンを行うことでも、ブランディング効果を高めることができます。例えばフォローやリツイートを条件としたクーポン配布やプレゼントを行えば、認知拡大やフォロワー数の増加につながります。またハッシュタグでの投稿を増やし、5でご紹介する「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」を増やすことでファンを増やすということも可能です。

4. インフルエンサー活用

SNSで絶大な影響力を持つ「インフルエンサー」を活用したPRもおすすめです。インフルエンサーを活用することで、企業単体では認知出来なかったユーザーにもブランドを知ってもらうことができます。また「インフルエンサーの〇〇が使っているから」という理由から商品に興味を持ってもらう機会が増え、さらなるファン増加を見込めます。

5. UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用

UGC(ユーザー生成コンテンツ)は、SNSによる口コミ投稿やブランドのハッシュタグをつけた投稿など、一般ユーザーが自発的に作成したコンテンツを指します。インフルエンサーは企業がプロモーションのために投稿を依頼しますが、UGCはユーザーによる自発的なコンテンツとなるので自然と認知を広げていくことができます。最近は購入の意思決定としてSNSの投稿や口コミを参照する人が増えているため、このUGCを意図的に増やすことが出来れば、効果的にブランディング効果を高められます。

6. ユーザーコミュニケーション

投稿についたコメントに返信をする、ストーリーズ機能でコメント返信を行うなど、ユーザーとのコミュニケーションを活発にすることで、ブランドイメージの向上やファン獲得などの効果が期待できます。ユーザーとの関わり方は距離感は、運用の目的やコンセプトにも関わるため、事前に方針を決めておくと一貫したSNSづくりを行うことにもつながります。

企業SNSブランディングの成功事例

1. ミツカン

ミツカンが運用するXでは公式キャラクターの「ぽんズ」と運用担当(中の人)が、日常やぽん酢の活用レシピなどを発信しています。こちらのアカウントは中の人がほぼ全てのコメントに返信しており、毎投稿10件以上のコメントが付くなど、ユーザーコミュニケーションがとても活発なのが特徴です。

2. 雪見だいふく|ロッテ

雪見だいふくが運用するXでは、雪見だいふくのアレンジレシピはもちろんのこと、ユーザーが投稿したおすすめレシピを積極的にリツイートするなどしてユーザーコミュニケーションを増やしています。またクイズやキャンペーンなども定期的に行っており、認知拡大やファン増加などに繋がっています。

3. 無印良品|良品計画

無印良品が運用するInstagramでは、商品の紹介や使い方、レシピなどを紹介しています。無印良品では店舗スタッフがインフルエンサーとなって商品の紹介を行ったり、人気インフルエンサーとコラボしてPRを行ったりしています。
無印良品ではInstagramの他にも、XやYouTube、TikTokなどのSNSも運用していますが、どのアカウントもコンセプトに統一感があります。「無印良品と言えばこんなイメージ」というのが想像できる方も多いと思いますが、それだけブランディングが上手くいっていると言えます。

広報担当が心得ておくべき「守り」のSNSブランディング

特にSNSは拡散力がとても強く、万が一風評や炎上が発生してしまうとブランドイメージの低下やファン離れの影響が出る可能性が高まります。ここまで認知拡大やファン獲得といった「攻め」のSNSブランディングをご紹介してきましたが、ブランドを守る為には「守り」のSNSブランディングの視点を持っておくことも重要です。

1. 投稿のテーマに気を付ける

投稿の内容によってはSNSで炎上したり、批判を受けやすいテーマもあります。以下のようなテーマは特に炎上しやすいため、言及を避ける、投稿前のチェックを徹底するなど投稿時には注意しましょう。

  • ・災害(地震、台風、テロ、戦争、感染症など)
  • ・差別(人種、障碍、年齢、地域、職業など)
  • ・思想・宗教
  • ・スポーツ・アイドル
  • ・スキャンダル(不祥事、不倫、公序良俗に関する行為)
  • ・政治
  • ・セクシャル(LQBTQ、ジェンダー、みだらな内容)

2. 投稿時の注意点や禁止事項などをマニュアル化する

投稿時の注意点や禁止事項などをマニュアル化しておくことで、運用担当者側のミスや不適切投稿などの発生リスクを最小限に抑えることができます。以下のようなポイントをまとめておきましょう。

  • ・ユーザー対応の方法(コメント・DM返信など)
  • ・投稿のチェック体制・確認事項の項目化
  • ・法律違反(ステマ、著作権など)に関する注意点

3. 炎上時の対応フローを準備しておく

昨今のSNSは十分に対策を行っていても100%炎上トラブルを防ぐことが出来ません。そのため、炎上発生時の対応フローを整え、迅速に的確な判断と行動ができるようにしておきましょう。以下のような内容を決めておくと、いざという時の判断がしやすくなります。

  • ・炎上時の報告フロー
  • ・炎上時の対応有無の判断(誰が行うのか)
  • ・謝罪文の作成と公表(どの部署の誰が行うのか)
  • ・炎上鎮静後の対応(モニタリングなど)

炎上が起きた際は、その後の対応の早さで炎上の影響を最小限に抑えることができます。事前に対策を取っておくことで、ブランドイメージを守りましょう。

SNSブランディングを行う上で気を付けるべきポイント

1. 投稿は継続的に行う

SNSでブランドを想起してもらうためには、定期的にユーザーと接触して「〇〇と言えば◇◇」とイメージを持ってもらうことが大切です。運用にある程度の負担はかかりますが、無理のない範囲でまずは継続して投稿をしていきましょう。

2. インフルエンサー活用の際には「ステマ」に注意する

今回ご紹介したSNSブランディング手法の1つ〈インフルエンサーの活用〉にあたっては、「ステルスマーケティング(ステマ)」に気を付けましょう。ステマとは、PRや広告である旨を明記せず(またはわかりにくく隠して明記)に商品やサービスの宣伝を行うことで、「景品表示法違反」に該当し、措置命令や罰則を受ける可能性もあります。信頼喪失はもちろん、企業イメージの悪化につながるため、注意しましょう。

3. 炎上に備える準備もしておく

「守りのSNSブランディング」でもご紹介しましたが、ブランド認知拡大と並行して、ブランドを守るための対策も行っておきましょう。両軸でSNSブランディングを行うことで、よりブランドイメージを向上させることができます。

SNSを使って効果的にブランディングを行おう

本記事ではSNSブランディングの手法とポイント、成功事例をご紹介してきました。「攻め」と「守り」のブランディングの観点から両軸でSNSブランディングを行うことで、ブランド価値を高めることができます。今回ご紹介したSNSブランディングの手法やポイントを今後のSNS運用にお役立てください!

また企業のブランディングにSNS運用されるご担当者・管理者様向けに、SNS運用に必要な準備や運用体制づくり、炎上などトラブル対応・対策などを資料にまとめた【SNS運用担当者のためのガイドブック】もご用意しました。ぜひ本記事と併せて、今後のSNS運用のガイドとしてお使いください!