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昨年11月の発売からわずか2か月で200万本突破の大ヒットとなった『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』(以下、桃鉄)。人気シリーズの最新作とはいえ、ここまでのヒットは予想されていなかった。その謎を解き明かそうと、既に多くのレビュワーが様々な見解を発表している。 【画像】新国立競技場なども登場する『桃鉄』新作  管見の範囲において、その内容はだいたい下記のようなものだ。

  • コロナ禍での巣ごもり需要が増えた
  • 元ゲーマー世代のノスタルジーを刺激した
  • 家庭を持ったゲーマーが子どもに買い与えた
  • 親戚が集まる正月のパーティーゲームとして購入した

しかしこれだけでは200万本超えの大ヒットには至らないと思われる。200万本という数字はシリーズのファンだけでなく、もともと関心がなかった層にまで届いてこそ到達したものだろう。

実際、桃鉄は2020年中に約132万本を達成しており、年が明けてから1か月にも満たない期間で200万本まで到達している。この数字が示すところは『鬼滅の刃』の大ヒットと同じように「流行っており、話題性があるから買った」人たちの存在だ。

桃鉄フォロワーが増えた理由

最初から購入を決めていなかった層にまで訴求するひとつの原動力となったのは、実況配信にあるといえるだろう。何しろ、これまでゲーム実況動画を許可しなかったコナミが『桃鉄』には公式に許可を出したのである。

著作権と宣伝効果の狭間で、「メーカーのお目こぼし」に依存しているケースも多いゲーム実況というカルチャーのなかで、人気配信者たちがメーカー公認のもと、安心して動画を投稿、あるいはライブ配信を行い、収益化できるというのは、プレイするタイトルを選択する上で非常に大きい。“ネタバレ”を気にする必要がなく、楽しいプレイ動画が販促につながりやすい、というタイトルの特徴もあるが、いずれにしてもSNSやYouTubeを介し、世代を超えて一気に『桃鉄』の動画が拡散され、その面白さが知られるようになった。

特に大きな宣伝効果があった動画のひとつと思われるのは陣内智則の「桃鉄コント」だ。陣内お馴染みの「世の中のありふれたものに少しずつ異常が起き、それにツッコんでいく」というコントスタイルで桃鉄とタッグを組み完成させたコンテンツだ。「3つのサイコロのうち2つが消え、相手のものになる」「『野球チップスカード』という謎のカードが出てくる」といったように桃鉄に少しずつ異常が発生し、プレイしながら鋭くツッコミを入れていく。コナミのバックアップを受けて制作されているゲームクオリティの高さと、桃鉄ファンでもある陣内の細部までこだわったネタの面白さがあいまって桃鉄を知らない人でも楽しめる動画に仕上がっており、再生回数は410万回(2021年2月9日時点)を超えている。

『有吉ぃぃeeeee!』(テレビ東京)の公式YouTubeチャンネルでも、桃鉄は大人気だ。同チャンネルの登録者数23.5万人に対し、桃鉄動画は100万再生を超えている。地上波放送と連動した形式や、有吉、アンガールズ・田中、タカアンドトシなど人気芸人らが楽しそうにプレイする様子は、多くの視聴者に「友達と一緒に桃鉄やったら楽しそう」と思わせたことだろう。

このように桃鉄が実況映えするのには理由がある。

桃鉄はパーティーゲームとしてのバランスが絶妙なのだ。日本全国の物件を買い占めて総資産で勝負する桃鉄は「モノポリー」にも似ているが、運に依存する要素、逆転に繋がる要素が適度に配置されているため、そのゲーム展開はかなり波が激しく、単純な「トップ独走」を許さない。

憑りつかれると一気に資産が滅却されるキングボンビーや、一発逆転できるシンデレラカードはプレイに緊張感を与えてくれる。資産が増えるほどに失うリスクが大きくなるので維持するのが難しい反面、マイナス100億円になっても無料で帳消しにできる徳政令カードのおかげでゼロに戻るのはたやすい。プレイする者も観る者も、最後まで気を抜けず、緊張感を持って楽しむことができる。そのゲーム性は新たに導入されたオンライン対戦機能とベストマッチしており、まさに実況向きのパーティゲームだと言える。このハラハラドキドキするゲームを話術に優れた芸能人が実況することで、まるでテレビのバラエティ番組のような面白さが生まれた。

おそらくコナミは実況を許可することで、ゲーム実況者がプレイ動画を作ることを見越していたのだろう。オンライン対戦は個人プレイヤーを楽しませるだけでなく、マーケティングにも大きく寄与しているに違いない。