毎年恒例となっているコンプライアンス研修。ですがネタがマンネリ化しやすく、何を伝えるべきか迷っているご担当者様も多いのではないでしょうか。
特に近年は、SNSの発達によって従業員一人ひとりの発信が企業リスクにつながる時代。実際、従業員のSNS投稿が原因で企業全体が炎上し、経営を揺るがす事例も増えています。そこで本記事では、コンプライアンス研修で今扱うべき研修ネタ3選と、失敗しない研修設計のポイントをご紹介していきます。
弊社ではSNSリテラシー研修に関するセミナーも開催しています。効果的・効率的にSNS研修を行うために必要な3つのポイントと実施方法を、他社のケーススタディと合わせてご紹介していきます。ぜひこちらも本記事と合わせてご活用ください。

目次
コンプライアンス研修とは?目的と必要性を再確認
コンプライアンス研修とは、社員・従業員の法令や社会的ルールへの意識を高め、不祥事やトラブルを未然に防ぐために行う研修のことです。
研修では以下のようなテーマを扱います。
情報セキュリティ | 情報漏洩、不正アクセス、パスワード管理、ウイルス感染対策 |
情報リテラシー | SNS・ネットリテラシー |
ハラスメント | セクハラ、パワハラ、マタハラ |
法令違反 | 下請法、個人情報保護法、独占禁止法 |
労働法 | 長時間労働、賃金未払い、不当解雇 |
知的財産権 | 著作権、特許権、意匠権、商標権 |
業界・業種に関連する 法律・倫理 | インサイダー取引、虚偽広告、カルテ改ざん、衛生管理の不徹底 |
多くのステークホルダーを抱える企業にとって、コンプライアンス違反を防いで企業の信頼を保つことはとても重要です。研修を通して従業員のコンプライアンス意識を高め、組織全体のコンプライアンス体制を強化することを目的に実施されています。
なぜ今、コンプライアンス研修が重要なのか?
帝国バンクデータの統計によれば、ここ数年でコンプライアンスによる倒産件数は急激に増加しています。コロナ禍に始まった融資支援の粉飾や助成金の不正受給が急増した背景もありますが、SNS・インターネットの普及により従業員が発端となるコンプライアンス違反も目立っています。

従業員による不祥事が一度でも起こってしまうと、社会的な信用を大きく損ない、場合によっては行政処分や倒産につながってしまう恐れもあります。また信用を失うことで株価の下落や従業員の離職などが起こるケースもあり、企業への影響は計り知れません。会社はもちろん、従業員を守るためにもコンプライアンス研修は必須のものとなっています。
今本当に伝えるべきデジタルリスクをテーマにした研修ネタ3選
コンプライアンス研修のテーマは多岐にわたりますが、特に近年はインターネットやSNSを起点としたトラブルが多発しているため、コンプライアンス研修における重要テーマとなっています。今回は、今本当に伝えるべき「デジタルリスク」をテーマにした研修ネタ3選をご紹介いたします。
1. SNS・ネットリテラシー
1つ目は「SNS・ネットリテラシー」です。近年はSNSやインターネットの普及により個人の発信力がとても強まっており、従業員の不適切な投稿が炎上・拡散し、企業にマイナスな影響が及ぶケースも増えています。
特に新入社員は他の世代と比べてSNSを使いこなしており、発信力が高い方も多くいます。そのためコンプライアンスの視点から「社会人としてどのようにSNSを利用すべきか」を伝えることが重要です。また最近は公式SNSを運用する企業も増えているため、SNS運用担当者向けのSNSリテラシー研修を実施する企業も多くなっています。
2. 情報漏洩
2つ目は「情報漏洩」です。情報漏洩にもいくつかのパターンがあり、最も多いのが「ウイルス・不正アクセス」による情報漏洩です。会社保有の情報には顧客や取引先の情報も含むため、情報漏洩が起きるとステークホルダーからの信用を大きく失うことになります。
特に近年はテレワークの普及により、会社外部のネットワークを使用する機会も増えたため、これらのリスクが高まっています。またパソコンやSNSなどのパスワード漏洩も増えているため、パソコンを利用する従業員が多い企業や店舗ごとに複数のSNSアカウントを持っている企業などは特に注意が必要です。
3. 知的財産権
知的財産権とは、アイデアや創作物などの「知的財産」を保護するための権利です。特許権や意匠権、著作権、商標権などがこれに該当します。
- ・新商品の機能や外観が他社の既存製品と類似していた
- ・ブログ記事やSNSの投稿で、他人の作成したデータや画像を無断利用していた
などといったケースが考えられます。特に商品・サービスの開発や広報など発信業務を担う担当者は、意図せずに知的財産権を違反してしまう可能性もあるため、
- ・研修を通じてどのような行為が違法になるのか
- ・どのようなルールに則って業務を行えば良いのか
などを研修を通じて伝えていくことが重要です。
効果的に実施するには?成果につながるコンプライアンス研修の設計フレーム3ステップ

では従業員にきちんと理解してもらえるような、効果のあるコンプライアンス研修を設計・実施するためにはどのように進めていけば良いのでしょうか?ここでは、効果的に研修を行うための設計フレームをご紹介します。
1. コンプライアンスに関する意識調査アンケートを実施する
まずはコンプライアンスに関する意識を把握するため、アンケートを実施しましょう。従業員の理解度を把握しないまま研修内容を作成してしまうと定着率が悪くなる可能性もあります。現状の理解度に合わせて研修内容や難易度を変えることで、当事者意識をもってもらいやすくなり、研修の効果も出やすくなります。
2. 実施方法・研修内容の策定
実施したアンケートを基にプログラムを作成していきましょう。また研修の対象や従業員の働き方、業務状況に合わせて、研修の実施方法を変えることもおすすめです。
- ・オンデマンド形式でのオンライン研修
- ・対面形式でのワークショップ研修
など研修方法を工夫することで参加率や定着率の向上に繋がります。
3. コンプライアンス研修の実施と理解度チェック
コンプライアンス研修は実施して終わり、では意味がありません。研修対象者への理解度チェックやアンケートを行い、研修が効果的に行えたかを確認しましょう。理解度チェックやアンケートを基に振り返り、次回のコンプライアンス研修につなげていくことが重要です。
研修をしていてもコンプライアンス違反が起こってしまう理由とは?
コンプライアンス研修は多くの企業で行われていますが、研修を行っていてもコンプライアンス違反が起こってしまうこともあります。どのような理由からコンプライアンス違反が起きてしまうのでしょうか?
実施方法・研修内容が見合っていない
1つ目のパターンは、実施方法や研修内容が対象者に合っていないケースです。コンプライアンス関連のセミナーやパッケージの研修を利用すると、対象者のレベル感に合わず、当事者意識を持ってもらいにくかったり、定着率が悪くなってしまったりする可能性もあります。まずは対象従業員の理解度を図り、必要な内容を適切な方法で伝えていく必要があります。
会社組織の根強い文化から起こってしまう
2つ目のパターンは、根強い企業文化が原因となって起こるケースです。「上司もやっているから大丈夫」「違反じゃないかと思っていたけど〇〇さんには注意できない雰囲気があって…」など会社組織の根本に原因があると、たとえ研修を行ったとしても行動変容がしにくくなります。こうした会社組織の根本に原因がありそうな場合は、企業文化そのものの見直しから必要になることもあります。
コンプライアンス研修に関するQ&A
Q. コンプライアンス研修は年に何回行うべき?
コンプライアンス研修は最低でも年に1回は実施しましょう。コンプライアンス違反の傾向や法律の改正なども行われるため、最新の情報に反映することでコンプライアンス遵守の意識が高まります。1回実施して終わり、では意味がないので、実施後の理解度チェックを基に研修内容をブラッシュアップし、定期的に実施することで効果が高まります。
Q. コンプライアンス研修は中小企業でも必要?
コンプライアンス研修は中小企業においても重要です。繰り返しになりますが、一度でもコンプライアンス違反が起こってしまうと会社としての信頼を失って業績が悪化し、最悪の場合は行政処分、倒産といった可能性もあります。規模の大きさに関わらずコンプライアンス研修は実施しましょう。
Q. コンプライアンス研修はアルバイト・パート社員にも実施すべき?
アルバイト・パート社員へもコンプライアンス研修を実施するのがおすすめです。最近はアルバイト・パート社員が店舗のSNSを使って投稿するケースも増えており、SNSリテラシーが低いことでSNS炎上に繋がってしまったというケースもあります。またアルバイト・パート社員が顧客の個人情報を漏洩した事件も起こっています。正社員と比べてコンプライアンスへの意識が低いことも多いため、雇用している企業は実施内容や実施方法を工夫して研修を行うことをおすすめします。
自社で設計出来ない場合は?プロの力を活用する選択肢
本記事では「デジタルリスク」に関するコンプライアンス研修ネタをご紹介してきました。コンプライアンス研修は企業においてとても重要な意味を持つため、今回ご紹介した手順を基に効果的に実施できるように、コンプライアンス研修を設計してみてください。
エンタープライズ企業から中小企業、学校法人までのSNS研修を幅広く手がけている弊社では、SNSリテラシー研修に関するセミナーも開催しています。効果的にSNSリテラシーを理解してもらうための研修内容や実施方法を他社のケーススタディと合わせて解説しますので、ぜひご活用ください!

またジールコミュニケーションズでは、企業のデジタルリスクに関するコンプライアンス研修の伴走支援を行っています。対象者へのヒアリングから、企業様に合わせたSNSリテラシー研修プログラムの作成・登壇、理解度測定まで、貴社のニーズに合わせてサポートいたしますのでお気軽にご相談ください。