企業SNS運用ルールの作り方|ガイドライン策定の必要性と作成方法

  • 「投稿の基準やコメント返信などのルールがなく、各チームに任せてしまっている」
  • 「ルールがあった方がいいと思うが、何を決めれば良いのかいまいちわからない」

など、SNS運用を行っているという企業様の中には、SNS運用の管理に課題を抱え「ルールを作りたい」と考えていらっしゃるご担当者様も多いのではないでしょうか?そこで本記事では、企業でのSNS運用を行う上で決めておきたいルールとガイドラインの作成方法について手順を追って説明いたします。SNS運用・管理を行われている方からマニュアル・ガイドライン策定の専門部署の方まで、SNSルール作りに関わるご担当者様はぜひお役立てください!

またこれからソーシャルメディアガイドラインを作りたいと考えているご担当者様には「ソーシャルメディアガイドラインのひな形」がおすすめです。本記事と併せてぜひご活用ください!

企業のSNS運用にルールは必要?ルール作成の目的

これからSNS運用ルールを作るという方の中には、“そもそも必要なのだろうか?”と感じている方もいらっしゃるかと思います。そこでまずSNS運用ルールを作る目的から確認していきましょう。

SNS運用の属人化を防ぐ

会社としてのSNS運用の目的やルールを担当者全員に共有しておくことで「この人しか知らない・できない」という状況を無くすことができます。担当者の異動や退職があった時にも、ガイドラインがあれば質を下げずに発信を続けることができます。

SNS運用担当の不適切投稿やコンプライアンス違反を防ぐ

各部署・各SNSごとに運用ルールが異なっていたり、目的が明確化されていなかったりすると、SNS運用担当者の不適切な投稿やコンプライアンス違反が起きやすくなり、炎上トラブルや法律違反などに発展してしまう可能性もあります。そうなってしまえば、ブランドイメージの低下や企業利益の悪化は避けられません。こうしたリスクを防ぐために、会社としてのSNS運用方針やルールの統一を行っておくことが重要です。

SNSトラブル発生時の対処法を共有し、企業ブランドを守る

SNS運用ガイドラインには、運用のルールだけでなく、SNSに関わるトラブル発生時の対応フローや対応方法なども明記しておきます。SNSは現代社会において拡散力・影響力が強く、企業への影響もかなり大きいため、トラブル時の対応を明記しておくことで素早く正しく対応を行うことができ、企業ブランドや利益を守ることにつながります。

SNS運用に必要なルールの種類と役割

企業のSNS運用に必要な規程類は大きく4種類あります。SNS運用の規模感や影響範囲に合わせて作成しましょう。

ソーシャルメディアポリシー

ソーシャルメディアポリシーは、ソーシャルメディア上での企業の姿勢や指針をまとめた規程です。企業としてSNSとどのように関わり、利用するのかといった姿勢や方針を重傷インやステークホルダーに対して明文化することが目的です。このポリシーが軸となって、以下でご紹介するコミュニティガイドラインやソーシャルメディアガイドライン、SNS運用ガイドラインの細かい運用ルールが決まっていきます。

コミュニティガイドライン

コミュニティガイドラインは、社外向けにSNS利用時にユーザーに守ってほしいルールをまとめたものです。知財権の取り扱いやコメント対応の方針などを明文化するとともに、誹謗中傷や勧誘行為などモラルに関する注意事項を定め、健全にSNSを利用してもらうことを目的としています。ルールだけでなく、コミュニティガイドラインに違反した際の対応(投稿の削除など)も明記し、万が一トラブルが起きた際の対応も定めます。

ソーシャルメディアガイドライン

ソーシャルメディアガイドラインは、SNSの運用や利用において企業が持つブランドイメージや利益、信頼性を保つための行動基準を社内向けに示したガイドラインです。企業の公式SNS運用の際の行動指針と、従業員の個人的なSNS利用の際の行動指針をそれぞれ定めるものです。社内向け規程のため参照できる資料が少なく、作成ハードルが高いとされています。

SNS運用ガイドライン

SNS運用ガイドラインはソーシャルメディアガイドラインを軸に、各SNSの具体的な運用方法をまとめたものです。各SNSの投稿の手順や注意点、ユーザー対応の方法などをまとめ、誰でもガイドラインを読めば運用できる、というような内容をまとめておきます。SNSごとに機能や特徴も異なるため、運用するSNSに合わせて各SNSごと作成するのがおすすめです。

SNS運用ガイドラインの作成手順

ここではご紹介したSNS運用ルールの中でも最も業務レベルに近い「SNS運用ガイドライン」の作成手順をご紹介します。

1. SNS運用の現状をリサーチする

まずは社内のSNS運用状況を運用部署にヒアリングを行ってリサーチしましょう。ガイドラインに必要な項目は後ほどご紹介しますが、業界や社風、企業規模などによって、運用状況も発生しうるリスクも変わってきます。そのため関連部署に状況をしっかりとヒアリングし、「何を決めておくべきか」「どこに課題があるか」「どんなリスクが発生しうるか」を把握した上で作成することが重要です。

2. 大まかな内容を作成する

リサーチ内容をもとに、SNS運用ガイドラインの骨子を作っていきましょう。後ほどご紹介する項目を基にリサーチ内容を当てはめ、大まかに内容を作成していきます。

3. 各部署にフィードバックをもらい、ブラッシュアップする

実際にSNS運用ガイドラインを使う部署に確認をしてもらい、ブラッシュアップを行っていきましょう。ガイドラインを作る部署とSNS運用を行う部署が別の場合、現場の状況が理解しきれず「作ったけど結局現場で使われない」というケースも多々あります。各部署からのリアルな意見を集め「使えるガイドライン」を目指しましょう。

4. 対象者向けに周知と研修を行う

ガイドラインが完成したら対象者向けに周知と研修を行いましょう。「ガイドラインはあるけど使えていない」という状態はとてももったいないので、ガイドラインの本来の目的が達成できるように対象者がしっかり理解して使える状態にしておくことが重要です。

SNS運用ガイドラインで定めるべき項目

では、SNS運用ガイドラインには具体的にどのような内容を項目化しておけばよいのでしょうか?ここでは大きく6つの項目をご紹介します。

1. SNS運用の基本方針・目的

SNS運用で何を発信し、何を実現させたいのかなど、企業としての基本方針を示しておきましょう。またトラブル発生時の責任の所在も明記しておくことで、誰がどの範囲で責任を追うのがが一目でわかり、運用・管理がしやすくなります。

  • ・SNS運用の基本方針
  • ・SNS運用の目的・目標

2. SNS投稿時のルール

いつ、どのくらいの頻度で投稿するのか、投稿前にどのようにチェックを行うのかなど、SNS投稿時のルールをまとめておきましょう。

  • ・SNS投稿の手順や投稿設定
  • ・いつ、だれが、どのくらいの頻度で投稿するのか
  • ・投稿前のコンテンツチェックフロー
  • ・投稿前のコンテンツチェックリスト

3. SNS投稿時の注意点

SNS投稿に置いて、コンプライアンスや法令順守の観点から注意すべき点もまとめておきます。具体的には以下のような内容です。

  • ・投稿する文章や画像における倫理やモラル
  • ・著作権に関する事項と注意点
  • ・ステルスマーケティングに関する事項と注意点

4. SNS上での対応方法

SNS上でユーザー対応する際のルールや対応方法を決めておきましょう。運用担当ごとで対応が異なるとトラブルにつながりやすくなったり、状況の把握や管理が難しくなるため、統一のルールを作っておくのがおすすめです。

  • ・コメントに返信するかどうか/どのように返信するのか
  • ・いいねとリツイートの取り扱い方と注意点
  • ・DM(ダイレクトメッセージ)の対応ルール

5. SNS炎上・トラブル時の対応策

SNS利用時に万が一炎上やトラブルが発生した時の社内対応フローや対応方法、公式発表の手順などをまとめておきましょう。SNSでの炎上トラブルは一気に拡散し、影響力も強いので、素早く対応できるように対応策をまとめておくことが重要です。

  • ・炎上トラブル時の社内情報共有フロー
  • ・公式SNSへのコメント・クレーム対応の有無と対応時の注意点
  • ・公式発表の準備とタイミング、注意点

6. SNSアカウントの管理方法

SNSアカウントの管理が甘いと、アカウントの乗っ取りやアカウントの乱立によるイメージダウンどのリスクが高まります。そのためアカウントの管理方法に関してもルールを定めておくことが重要です。

  • ・パスワードの管理方法
  • ・社内運用アカウントの一覧と運用状況
  • ・デバイス管理に関する事項と注意点
  • ・アカウントのアクセス権

SNS運用ガイドラインを効果的に運用する3つのポイント

SNS運用ガイドラインは作って終わりではなく、SNS上でのトラブル防止や有事対応といった目的達成のために効果的に使える状態にすることが大切です。ここで、SNS運用ガイドラインを効果的に運用するための3つのポイントをご紹介いたします。

1. 社内のSNS運用状況を理解する

現場で使えるガイドラインを作るには、社内のSNS運用状況を理解することがとても重要です。特にガイドラインを使う部署と作る部署が分かれている企業では、「ガイドラインはあるけど、使いにくいから使ってない」という状況にも陥りがちです。現場に歩み寄り、使いやすいガイドラインを作りましょう。

2. 時代や社会の変化に合わせて定期的にアップデートを行う

ガイドラインは一度作って終わりではなく、時代や社会の変化に合わせてアップデートしていくことが重要です。SNSで新たな機能が追加されたり、法改正が行われたりした時には発生リスクが高まり、ルールで定めなければならないことも増えるはずです。アップデートが行われないままだと、次第に現場に使われないガイドラインになってしまうので、定期的にアップデートを行っていきましょう。

3. 研修でガイドラインを対象者へ落とし込む

ガイドラインの作り方でもご紹介しましたが、ガイドラインができたら対象者へ落とし込むという工程がとても重要です。研修も定期的にテーマを変えて実施することで、SNS運用担当者のリテラシーが高まり、ブランド管理やリスク抑止といった本来の目的を達成できます。

  • ■研修内容例
  • ・SNSアップデートや機能追加に伴うルールとリスク
  • ・著作権への理解と著作権侵害を防ぐための対応
  • ・ステルスマーケティングの理解と対策
  • ・SNS炎上のしくみとできる炎上対策

SNS運用ルールを作って効果的・効率的に運用しよう

本記事ではSNS運用ルールの種類と、SNS運用ガイドラインの作成・運用方法をご紹介しました。安全にSNS運用を行うには使えるガイドラインを作っておくことがとても大切です。今回ご紹介した手順や項目を基に貴社にあったSNS運用ガイドラインを作成してみてください。

今回ご紹介したSNS運用ガイドラインと合わせて、上位規程となる「ソーシャルメディアガイドラインを作りたい」というご担当者様にはホワイトペーパー【ソーシャルメディアガイドラインのひな形】がおすすめです。ぜひ本記事と合わせてご活用ください!