老舗企業のための炎上対策マニュアル|SNSマーケティングの必要性と具体的な炎上対策を解説

老舗企業のための炎上対策マニュアル SNSマーケティングの必要性と具体的な炎上対策を解説

ロイアリティの高い顧客を作るうえで欠かせないSNSマーケティングですが、老舗企業であってもこれからの時代には欠かせないものとなりました。万が一、SNS炎上がおこってしまった際のブランド毀損や風評被害のリスクを恐れ、長年続いてきた伝統のある企業だからこそ、絶対に失敗できない!だけどSNSで老舗ブランドの良さを伝えていきたい!と感じているご担当者様もいるのではないでしょうか。

「SNS運用の知見が不足しており、炎上した際のブランド毀損リスクが怖い」「自社のデジタル化の遅れを感じており、SNSを通じて手堅く安全なSNS運用をしていきたい」などお悩みの方に向けて、本記事では、老舗企業のSNSマーケティングの必要性具体的なSNS炎上対策方法を紹介していきます。

老舗企業であってもSNSマーケティングが必要な時代

2024年9月時点で、業歴100年以上を誇る老舗企業は日本に4万5,284社存在します。これは、各地域で長年にわたり人々に支持され、愛されてきた証といえるでしょう。しかし、長い歴史の中で市場環境は大きく変化してきました。特に近年は、市場のデジタル化、グローバル化、そして価値観の多様化によって、消費者の情報収集の場がSNSなどのデジタル空間へと移行しています。そのような時代において、伝統的なブランドメッセージや創業理念を、SNSを通じて発信していくことが求められています。

SNSで認知されないのは存在しないのと同じ⁉SNSをやらないと実害が出る現実

「SNSがライフスタイルに与える影響」に関する調査によると、オンライン上での企業からのSNS発信やリアルなユーザーの口コミ、企業とユーザー間のコミュニケーション、顧客同士の情報シェアなど、SNSが顧客の購買意思決定に影響を受けていると約8割が回答しており、約7割が商品を購入する前にSNSで情報収集していることが明らかになりました。

SNSがライフスタイルに与える影響の調査 SNSで得た情報が生活や購買行動に影響を与えているとおもいますか? 何かを購入する際にSNSで情報収集しますか?

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000131474.html

こちらのデータから考えられる、SNSをやらないと企業に出る実害を紹介します。

1.購買の選択肢に入らず売り上げ低迷

SNSでの事前情報収集が主流になった今、そもそも企業アカウントの存在とSNS発信がなくては認知されず、顧客の購入選択肢に入らないどころか存在しないのと同じになってしまいます。SNSマーケティングで認知されている競合企業に顧客を取られても当たり前の状況となり、SNSを運用している競合に比べて衰退スピードも速まるでしょう。

2.若年層の顧客離れと顧客の高齢化

企業の存続やさらなる成長には、新規顧客層の獲得が不可欠です。特に、老舗企業では、消費者の年齢層が上がり売上減少が懸念されます。そのためSNSを活用し、若い層への認知拡大の努力がなければ、若年層の顧客獲得は難しく顧客離れが進むでしょう。

若者のレトロブーム押し寄せている今、SNS運用を活用していくのと活用しないのでは今後の社運にもかかわる可能性があります。

3.採用活動への悪影響

就活生の世代である10~20代は生活の中心にSNSがあり日常的に利用をしており、若い世代の認知拡大を担うツールとなっています。SNSが情報収集の主流となっている今、企業SNSが存在しなかったり更新がされていないと、信頼が得られず社内体制が古い会社と見なされやすいです。後継者育成のためにもSNSマーケティングは力を発揮します。職場のリアルな雰囲気が伝わりやすいので、就活生のミスマッチを防ぐことにも繋がります。

老舗企業こそSNSを活用するメリット

SNS活用は伝統を壊すものではなく、老舗企業だからこそ持つ伝統やこだわりを伝えるブランディング手段です。老舗企業でしか出せない魅力をSNSで伝えてきましょう。

1.SNSはブランドストーリーの発信に最適

長年積み上げてきた老舗企業の歴史・技術・こだわりをビジュアルや言葉で伝えられるSNSは、ブランド資産を活かせる場となり、新しい顧客層との効果的な接点となるでしょう。

老舗の企業のSNSであると良いコンテンツの例

老舗らしさ伝統のこだわり、商品が生まれたエピソード、歴史的エピソード、企業の歴史、創業者の思い、長年使っている道具の紹介、豆知識、土地の魅力
商品のこだわり商品の魅力、製造過程、原材料のこだわり、〇年継ぎ足しのたれ、職人技、職人の思い
愛されていることが分かるエピソードお客様の声、取引先の声、○○賞を受賞、商品を愛した著名人
■石川県の酒蔵 福光屋様

お酒の製造過程や、商品への想いを投稿しています。

引用元:https://www.instagram.com/p/DD6kvMnyvfI/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

■島根のハンコ屋 永江印祥堂様

ハンコの細かなデザイン力で、技術の高さをアピールしています。

引用元:https://x.com/nagaeinsyoudou/status/1761524637530542496

2.現代のニーズと伝統のイノベーションが新しいファン層の獲得につながる

老舗企業にとってSNSで発信していくことは、事業の持続可能性を高めるために重要な戦略です。新しい世代に響くデザインや伝統的な要素を取り入れることで、伝統と革新のバランスを保ちながら、イノベーションを起こすことが期待できます。伝統を守るだけでなく、時代とともに進化し続ける姿勢は老舗企業にしかできない強みであり、新たな成長機会を生み出します。

3.訪日外国人向けのインバウンド施策としても有効

インバウンド集客に効果的なハッシュタグを使用することによって、海外の客層にアプローチでき海外ファンの獲得にもつながります。実際に現地に足を運んでもらうきっかけを生み出し、その地域の活性化にも繋がるでしょう。

経営層をSNS運用に賛成させる“説得する視点”

SNSを積極的に行い企業の魅力を発信していきたいのに、老舗企業になればなるほど従業員がベテランでSNSに疎く保守的な為、企業SNSを運用すること自体に「伝統に反している」と否定的な場合があります。下記のポイントを参考にSNSをやらなければいけない理由を伝えましょう。

経営層にSNS運用の必要性を伝えるポイント

  • 「老舗らしさ」を失わず、若い層に魅力を発信できることを伝える
  • 企業の理念や考え方を伝えることで、より質の高い顧客を創造できることを伝える
  • SNS時代ではSNS上での情報発信や定期的なコミュニケーションが購買行動に直結する
  • 企業存続のためにもSNS運用は重要

老舗企業がSNSを運用する中で考えられる注意点と対策ポイント

伝統的なブランドイメージを守りながらも、新規顧客獲得やブランド認知獲得のためにSNSマーケティングに取り組むSNS運用責任者の責任は重いと思います。SNS炎上は一度起こるとあっという間に拡散され、ブランドの信頼を取り戻すのは簡単なことではないからです。老舗企業がSNS運用をする際に考えられる注意点と対策ポイントを紹介します。

1.ブランドイメージ毀損

長年築いてきた老舗企業ならではの「格式」「信頼」「伝統」といったブランドイメージとSNSのカジュアルさがミスマッチを起こすと、信頼の失墜や顧客離れが出る可能性があります。

対策
  • ブランドガイドラインを制定し、軽率な発言や炎上リスクを減らす
  • 投稿内容を社内でダブルチェックする体制を設ける

2.外部SNS運用会社との連携不足によるブランド毀損

完全にSNS運用を外部の制作会社に依存している場合、投稿内容とブランドイメージが乖離したまま運用を続けていてはブランド毀損が起こります。

対策
  • 外部制作会社と共通のSNS運用ガイドラインを制定する
  • 投稿する前に企業側で承認するフローを設ける

3.ユーザーとのコミュニケーション

アンチコメントに対し、高ぶった感情のまま反抗的な返信をすることで、二次炎上となるリスクがあります。

対策
  • 誹謗中傷のような批判的なコメントに対して、とっさに反論意見はださない
  • 一定のアンチコメントに対する返信を事前に思考して、ルール化しておく
  • 批判も貴重な意見として担当部署へフィードバックを行い、一人の判断で返信しない

SNS炎上対策に強いSNS運用体制構築

SNSは様々な価値観を持つ人が閲覧しているので、どの発言が不快に切り取られ炎上してしまうか分かりません。ですので、完成したコンテンツは複数人の目を通しクリエイティブチェックし、炎上リスク対策をする必要があります。社内でその体制フローを確立しましょう。

炎上を防ぐSNS運用体制構築 コンテンツ✓ポイント

また、SNSはブランドの世界観を表現する重要なチャネルですが、運用担当者の裁量に依存してSNS投稿の質やトーン&マナーがバラバラになってしまうとユーザーが不快感を抱きフォロワーの減少に繋がります。今までの伝統が築いてきた信頼を守る意味でもブランドガイドラインを制定しましょう。

ブランドガイドライン一例

  • ブランドのコンセプトを理解してもらう
  • 届けたいターゲット層を明確にする
  • ブランドのビジュアルスタイルやトーン&マナーを定める
  • 絵文字の使用、不使用
  • 写真やイラストの表現を整理する
  • 担当者個人の意見が強く反映されていないか確認する
  • コメント返信のルール化


SNS炎上が起きてしまった時の対応

SNS炎上が企業へもたらす影響

SNS炎上は一度起こるとあっという間に拡散され、ブランドイメージの低下、株価の下落、不買運動、売上の減少、ネガティブなキーワードによるサジェスト汚染、離職率の増加、口コミ投稿欄へのアンチコメントの増加さらには、事業継続の危機にまで発展する可能性があり、これらの影響は、企業の信頼やブランド価値を長期間にわたり損なう深刻なリスクとなります。万が一、SNS炎上が発生したら、二次炎上を起こさないよう迅速で的確な炎上対応が必要です。

炎上した際に行ってはいけない4つの注意点

1.すぐに投稿を削除するのはNG

  • ・焦りから炎上した投稿を削除すると「隠蔽」と捉えらえられ二次炎上につながる
  • ・投稿を消したとしてもスクリーンショットが拡散されてしまい不誠実と捉えられる

2.炎上の発見と対応が遅れる

  • ・企業側の見解がなければ、ユーザーの憶測で拡散されてしまう
  • ・無視や沈黙をし続けると収集が難しくなる

3.感情的な反論や責任転機な言い訳

  • ・逆ギレや責任逃れな言動は火に油を注ぐ
  • ・「担当者が勝手な行動」など個人の責任にすることは、企業としての信頼を失う

4.事実確認を疎かにし、とりあえずの謝罪をする

  • ・炎上の本質を捉えていない謝罪では、本気度が伝わらず再度批判を受ける原因に
  • ・発言が二転三転してしまうと信頼失墜につながる

炎上発生時の対処フロー

SNS炎上は様々なきっかけで起こります。企業側がどんなに対策をしていても消費者側が発端として炎上してしまうこともあるので、デジタルリスクはゼロにすることはできません。万が一、炎上が発生した際に「誰が、どのように対応すべきか」を、炎上時対応マニュアルとして事前にまとめておくことも必要です。スピーディーで的確な炎上初動が企業が被る風評被害を最小限で食い止めることができるからです。

SNS炎上時対応フロー例

様々な要因で起こるSNS炎上の事例

公式アカウントで起こした炎上に関しては、SNS運用担当チームを中心に解決ができますが、バイトテロや内部告発などSNS運用担当者とは直接関係がない従業員が発端であったり、顧客の投稿が発端でSNS炎上に繋がる場合があり完全に管理できるものではありません。その場合、多くのステークホルダーを巻き込んでの炎上鎮火が必要です。

SNS炎上事例

  • 事例1.プライベートアカウントに投稿したつもりが誤って企業アカウントに投稿してしまい炎上
  • 事例2.歴史的な事件が起きた日に、被害者を軽視するような投稿をしてしまい炎上
  • 事例3.社内でのハラスメントや労働基準の違反を内部告発し炎上
  • 事例4.従業員・アルバイトの不適切な行為が拡散され炎上
  • 事例5.消費者から店舗や商品の品質に関するクレーム投稿が拡散され炎上

SNS従業員研修で不適切投稿による炎上を防ぐ

従業員による不適切なSNS投稿が発端として炎上し、会社のブランドイメージが下がり顧客の信頼を失う事象が後を絶ちません。特に、人手不足でアルバイトや非正規雇用の従業員に依存する業界では、日々の業務が優先され、SNS教育まで手が回らないケースが多く見られます。このような環境では、従業員の不適切なSNS投稿が炎上を招き、企業の管理責任を問われるリスクが高まります。SNSの利用方法についてのルールを従業員に教育する機会を設け、新入社員から経営層まで丁寧にSNS従業員研修を行いましょう。

役職や業務内容に応じて研修プログラムをカスタマイズ

従業員の興味関心を引き付けるようにSNSで炎上しやすいテーマや同業種での炎上事例を紹介し、より自分事化できるように役職や業務内容に応じてプログラムに応じて研修内容をカスタマイズすることが重要です。

SNS従業員研修のカスタマイズ例

新入社員向けSNS利用の基本ルール
アルバイト・パート向け不適切投稿防止の具体例
管理職向けトラブル時の対応フローと責任範囲の共有


従業員研修の実施方法

SNS研修の方法は大きく分けて「自社でSNS教育担当者を決めて社内完結させる方法」と「デジタルリスク専門会社に委託」する方法があります。

メリットデメリット
社内研修・自社の状況に合わせて研修内容を作成可能
・費用を抑えられる
・SNSリスクの専門知識が必要
・準備や講師の負担が大きい
専門業者による委託研修・デジタルリスク専門家による高品質な教育
・最新の事例やリスク情報
・研修費用が発生する
・カスタマイズしなければ汎用的な内容になる

ジールコミュニケーションズでは、従業員SNS研修の実施やSNS運用ルールなどの策定コンサルティングサポートも行っております。是非、ご相談ください。

まとめ

歴史に裏打ちされた信頼性と品質を、SNSで魅力的に伝えていくことが老舗企業継続には不可欠ということを説明してきました。より安全な炎上対策をするためには、ガイドラインやSNS運用体制構築などの基礎作りから従業員へのSNS教育がカギとなります。
伝統的な企業だからこそ、慎重で絶対に失敗できない!と感じているSNS運用担当者様へ向けて、お役立ち資料「企業の炎上リスクに備える為の9つの項目」をご用意しています。

企業の炎上リスクに備える為の9つの項目

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