広報活動にSNSを活用する企業が増えてきました。拡散力が強く、ユーザーとのコミュニケーションも取れるSNSは広報活動においてとても重要な存在です。しかしながら、
- ・SNSが伸び悩み、なかなか成果に繋がらない
- ・目的が明確になく、なんとなくで運用してしまっている
- ・ブランドリスクに不安があり、投稿での表現が難しい
など、広報活動としてのSNS活用に課題や不安を感じているというご担当者様も多いのではないでしょうか。そこで今回は、広報SNSを活用する際の運用方法や広報活動におすすめのSNS、運用の際の注意点をわかりやすくご紹介していきます。
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目次
今、広報がSNSを活用すべき理由
ここ数年で勢いを増したSNSは、情報の拡散力が強く、従来の広報手段と比べても広範囲でより多くのユーザーにアプローチできるのが魅力です。昨今では、特に若年層を中心にSNSを使って情報収集をする人が増えているため、SNSを活用することでより多くのユーザーにブランドを認知してもらえる可能性が高まります。

またSNSでは、DMや投稿のコメント欄を活用してユーザーや顧客との直接的なコミュニケーションを取ることもできるので、顧客満足度の向上やファン育成の観点でもメリットがあります。
広報がSNSを活用するメリット・デメリット
広報活動においては、SNSはとてもメリットの多い施策ですが、運用を行う上で知っておきたいデメリットもあります。ここで広報がSNSを活用するメリットとデメリットをそれぞれ確認しておきましょう。
広報がSNSを活用するメリット
1. 認知獲得・ブランディングができる
繰り返しになってしまいますが、SNSは拡散力の強さが特徴です。そのため従来の広報活動では届かない層にまで情報を届けることができ、新たな顧客開拓も可能になります。またSNSは基本的に無料で使うことができるため、上手く認知拡大が出来れば広告予算の削減にも繋がる可能性があります。
2. メディアへの露出も可能
SNSは単なる情報発信ツールだけにとどまりません。昨今はSNSでトレンド入りしたり、話題になったりすることで、ネットニュースやマスメディアに取り上げられるようなケースも増えてきています。メディアへの露出が増えれば、さらなるブランド認知の機会が増える為、大きなブランディング効果が見込めます。
3. ファンづくりができる
SNSでは、ユーザーや顧客との双方向のコミュニケーションを取ることが可能です。コメントやDMなどのコミュニケーションを通して、顧客ロイヤリティを高めたり、届いたコメントを新たなサービス改善に活かすこともできます。
4. マーケティングにも活かせる
SNSでは、各投稿のインプレッション数やフォロワー層(年代・性別など)、プロフィールアクセス数など、様々な効果測定を行うことができます。どのような層にどのような投稿が求められているかなどを把握することができる為、そうしたデータは今後のマーケティング・広報戦略に活用することも可能です。
広報がSNSを活用するデメリット
一方で広報がSNSを活用するデメリットもあります。
1. 炎上によるブランド毀損のリスクがある
SNSでは炎上によるブランド毀損のリスクがあります。昨今は企業の公式SNSが炎上し、ブランド毀損や内定辞退、株価の下落などに直結するようなケースも増えています。
- ・議論が激化しやすいテーマの投稿(環境問題、政治、ジェンダーなど)
- ・SNS運用担当者による不適切な投稿、コメント返信
- ・SNS上のコンプライアンス違反(著作権違反、景品表示法違反、個人情報漏洩など)
などを発端として炎上につながるケースも多いため、運用にあたっては運用チーム内で確認フローを設けたり、運用ルールを作ったりと、適切な運用体制を整えておく必要があります。
2. バズを狙いすぎてしまうリスクがある
SNSでは「バズ」を狙った投稿が一時的な注目を集めることがありますが、こうした一過性の話題で獲得したユーザーは、必ずしもブランドのターゲットやファンとは限りません。バズ後に何か炎上や不祥事が起きた場合、一斉に離脱する、ネガティブな反応が集中するなど、ブランド毀損につながるリスクがあります。
また、派手なバズ投稿と比べて日常的な発信は表面的な数値が伸びにくく、「成果が出ていないのでは?」と社内から誤解されやすいという問題もあります。数字に踊らされず、本来届けたい相手に向けて、中長期的な視点で運用戦略を組み立てることが重要です。
3. 運用が片手間になり成果が出ない可能性がある
兼業でSNS運用を行う場合、SNS運用業務が片手間になって成果につながりにくくなったり、途中で運用が放置されてしまったりする可能性もあります。SNSはすぐに効果が出る施策ではないため、地道に投稿を続けて伸ばしていく必要があります。そのため、無理なく目的が達成できるような運用体制を整えてスタートすることが大切です。
成果につながる広報SNSの運用6ステップ
ここまで広報SNS運用のメリット・デメリットをご紹介してきました。広報にとってSNSは大変有効な手段になりえますが、一方で運用の仕方によっては炎上トラブルが起きやすい状況になったり、運用が片手間になって成果につながらない可能性もあります。ここで、広報SNSで成果を生み出すための運用6ステップをご紹介します。

1. SNS運用の目的を明確にする
SNS運用にあたってまずは目標を明確にしましょう。目的がふわっとしたまま運用を始めてしまうと、運用が片手間になってアカウントが放置されてしまったり、他の業務を圧迫してしまったりする可能性もあります。
運用目的とそれに対する目標やKPIを設定し、なんとなくで運用しない体制の地盤を作っておくことが重要です。
2. 運用方針を決める
SNS戦略を立てる上では「そんなターゲットに対してどのような情報を届けて、どんな状態(ファン化する/購入するなど)にするのか」(=コンセプト)を明確にし、その上で施策を練っていく必要があります。
- ・どんな投稿をするか
- ・どんなキャンペーンを売っていくべきか
- ・どんな広告を打つか
などはコンセプトが軸になって決まっていくため、どんなアカウントを作っていくのかを運用前の段階で固めておくことが、SNS運用を止まらせないために重要です。
またコンセプトが明確にないと、運用メンバーによって投稿内容の質に差が出て、成果につながりにくくなる可能性もあります。そのため、成果を安定的に伸ばしていくためにもコンセプトを固めておくことが大切になります。
3. プラットフォームの選定
SNSのコンセプトが決まったら、運用するSNSを選定していきましょう。各SNSにはそれぞれ特徴があり、企業の商品やサービス、目的によって使うべきSNSが異なります。ここで広報活動におすすめのSNSを5つご紹介します。
SNS | 特徴 | こんな人におすすめ |
X(Twitter) | 拡散力 ★★★ 運用の手間 ★ コミュニケーション ★★ 炎上リスク ★★★ | ・リソースをかけられない ・広く認知拡大を目指したい |
拡散力 ★★ 運用の手間 ★★ コミュニケーション ★★ 炎上リスク ★★ | ・ビジュアルで視覚的に伝えられるサービスや商品をPRしたい ・画像・動画作成のリソースが確保できる | |
YouTube | 拡散力 ★★ 運用の手間 ★★★ コミュニケーション ★★ 炎上リスク ★★ | ・長尺動画でしっかりと商材の魅力を伝えたい ・動画作成のリソースが確保できる |
LINE | 拡散力 ★ 運用の手間 ★★ コミュニケーション ★★★ 炎上リスク ★ | ・顧客や見込み顧客と1対1のコミュニケーションを取りたい ・SNS運用の手間をあまりかけられない |
TikTok | 拡散力 ★★★ 運用の手間 ★★ コミュニケーション ★★ 炎上リスク ★★★ | ・若年層に向けて認知を広げたい ・動画作成のリソースが確保できる |
複数のSNSを掛け合わせて運用を行うケースもあります。目的や商材、使えるリソースなどを考慮しながら、適切なSNS選定を行いましょう。
4. SNS業務の役割分担を決める
使うSNSが決まったら、業務内容を細分化しチーム内で役割分担を行いましょう。SNS運用で成果を出すためには、運用チーム内で明確に役割を分担して、組織的かつ計画的に運用を行っていくことが重要です。
5. SNS運用ルールを整備する
役割分担が出来たらSNS運用ルールの整備を行いましょう。特に複数人で運用を行う場合は、メンバーごとに投稿やコメント返信の仕方などが異なるとトラブルのもとになります。
またブランドの一貫性という点でも、チーム内または社内で発信ルールを決めておいた方が良いです。他部署でもSNS運用を行っているという場合には、不適切投稿によるブランド毀損が起こる可能性もあるため、社内統一のソーシャルメディアガイドラインやソーシャルメディアポリシーといった規程を作っておく必要があります。
6. 危機管理マニュアルを作成
SNS運用ルールの整備と併せて、有事の際のエスカレーションフローや危機管理対応マニュアルを作成しておきましょう。SNS上の炎上トラブルは拡散も早いため、対応の速さによって企業への影響度合いが大きく変わります。対応のスピードや質によっては、株価下落、ステークホルダーからの信頼喪失、顧客・ファン離れ、従業員への誹謗中傷などにつながるケースも多く注意が必要です。
危機管理広報においては、
- ①迅速性:有事の際に迅速に対応を行い、声明を発表できる
- ②透明性:公表する情報に嘘ががなく、情報ソースが明確であること。
- ③一貫性:説明やその対応に一貫性があり、矛盾がないこと
この3つがステークホルダーの信頼を獲得するために重要なポイントです。危機管理対応に不備があり二次炎上が起こる、ということがないように危機管理体制も整えておくことが大切です。
広報SNSを活用している企業アカウントの成功事例
ここで広報SNSで魅力的に発信を行っている企業アカウントを3つご紹介します。各アカウントごと参考にできる部分が多いので、ぜひチェックしてみてください。
お~いお茶くん【公式】
お~いお茶の公式X(Twitter)では「お~いお茶くん」というキャラクターが軸となって発信を行っています。キャラクターアカウントも多くの広報SNSで活用されていますが、その親しみやすいキャラクターにファンも増えやすいのが特徴です。

横浜高島屋
横浜高島屋では、イベントやセールの告知などのニュースをX(Twitter)で、セールや各商品の詳細などをInstagramで発信しています。ニュースのようなトレンド性の高い内容は拡散力の強いX(Twitter)がおすすめですし、一方で商品の詳細など視覚的に伝えたいものはInstagramがおすすめです。こうした使い分けをして運用を行うことで、ユーザーは情報収集しやすくなり、集客や認知拡大にもつながりやすくなります。

FASIO
コスメブランドのFASIOでは、ビジュアルで伝えるのが得意なInstagramを使って、化粧品の発色や使い方などを、画像や動画を使ってわかりやすく紹介しています。ビジュアルで伝えたい・見せたいという商品やサービスの場合は、このようにInstagramやTikTok、YouTubeなどを活用するのがおすすめです。

【広報担当必読】SNSで広報活動を行う上での注意点
ここまでご紹介してきた通り、広報SNSにはブランド認知拡大やファン育成といった攻めの視点だけでなく、危機管理広報の守りの視点も持ち合わせておくことが大切です。ここで最後に、広報SNS運用を行う上での注意点を3つご紹介します。
1. SNS運用ルールを整備する
先ほども運用ステップでご紹介した通りですが、企業のSNS運用では炎上リスク防止や一貫したSNS発信のためにも、SNS運用ルールを整備することが重要です。
- ・投稿の作り方(トンマナや言葉遣いなど)
- ・発信してはいけない内容やテーマ
- ・投稿発信のルール(配信タイミングや頻度、誰が設定・配信を行うのか)
- ・投稿チェックフロー(作られた投稿を誰がどのタイミングでチェックするのか)
- ・コメント・DM返信の方法
このような内容を定めておくことでメンバーによっての運用に差が出ず、質を担保することができます。また炎上リスクの観点でも不適切な内容が投稿される可能性が減ります。
2. SNS運用体制を整えてから運用を始める
SNS運用の体制が整わないまま運用を始めてしまうと、投稿のミスや不適切な投稿を見逃して発信を行ってしまったり、リソースや人員が足りず運用が中途半端になってしまったりと、効果的にSNS運用を行うことが出来ません。
- ・適切な業務内容での人員配置/役割分担
- ・投稿のチェック体制
- ・運用ルールの整備(総務・経営企画など関連部門と連携を取って進める)
- ・定期的な監査(別部門にて適切に運用が行われているか監査を行ってもらう)
など広報部門単体ではなく、他部署とも連携して、社として安全にSNS運用が行える体制を作っていくことが大切です。
3. エスカレーションフローも整備しておく
SNSリスクは100%防ぐことができません。そのためもし炎上トラブルが起こってしまった場合に、誰がどう対応するのかを事前に決めておくことが迅速な対応につながります。「起こってから考える」では対応が遅れてしまったり、いざという時に焦って冷静な判断が出来なくなってしまったりして、二次炎上につながる恐れもあります。SNS運用を始める、また運用を見直すこのタイミングで一度整備を検討してみましょう。
広報SNSでは“認知拡大”と“ブランドリスク”両方の視点が重要
本記事では、広報活動でのSNS運用方法や注意事項などをご紹介してきました。SNSユーザーや顧客からの見え方も特に重要視される広報SNSでは、認知拡大の視点はもちろんのこと、危機管理の視点も併せ持って運用を行っていくことが重要です。
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