近年は少子高齢化による応募者の減少や内定辞退者の増加から、新卒採用が難しくなっています。では、内定辞退を防ぐためにどんな対策を行ったら良いのでしょうか?最近の就活生の傾向や内定辞退の理由から、内定辞退を防ぐ有効な施策5選をご紹介していきます。
目次
内定辞退率は毎年6割を超える
株式会社リクルート就職みらい研究所の調査によると、24卒の内定辞退率(2024年3月時点)は63.6%。新卒採用では毎年6〜7割の方が内定辞退をしているという結果が出ています。
「就職白書2023」によれば、23卒の新卒採用で「採用予定数を充足できた」と答えた企業は前年比11.8ポイント減。内定出し人数は増えている一方で、内定辞退者は増えているという現象が起こっています。
少子高齢化による応募者の減少から今後ますます採用活動が難しくなっていくことが推測され、採用担当者は改めて採用戦略を練り直す必要性があります。
なぜ内定辞退が起こる?5つの理由
では、内定辞退はなぜ起こるのでしょうか?内定を辞退したいと感じる理由を5つご紹介します。
1. 勤務地、給与、福利厚生など希望条件の不一致
学生は業務内容、勤務地、給与、福利厚生、社風などさまざまな条件を、多くの企業で比較しながら選考を進めています。しかし選考を進めていく中で優先度が変わり、内定が出た後に「やっぱりこっちの会社の方がいいかも」と感じてしまうこともありえます。
2. 社風や会社イメージの不一致
選考を進めていくと「思っていた社風と違った」といったギャップが生まれてしまうこともあります。ホームページやオウンドメディアだけでは、その会社の様子や社員の雰囲気、人間関係までを理解することはできないため、選考を進めていく中で「面接に行ってみたら高圧的だった」「社風が私には合わないかも」などの不安が生まれ、内定辞退に繋がってしまうと可能性があります。
3. 入社後の働き方に関する不安
近年の就活ではワークライフバランスを重視する傾向にあり、「リモートワークができるか」「希望の勤務地で働けるか」「産休・育休は取りやすいか」「有休取得率は高いか」などの項目が重要視されます。内定が出た後に「ここだと長く働き続けられないかも」と不安を感じて内定を辞退してしまうということも考えられます。
4. 採用担当や面接官の対応に対する不安
面接を進める中で、面接官が高圧的だったり、採用担当からの返事が遅かったりすると「社内の雰囲気も高圧的なのではないか」「社員への対応もおろそかなんじゃないか」などと悪いイメージを持たれてしまいます。近年の就活では「人間関係の良さ」も重視されていることから、学生は採用担当や面接官、また会社説明会などで接する社員の雰囲気をよく見ています。
5.志望度の高い企業の内定が出た
学生は多くの企業を見て、面接を同時進行で進めています。内定が出た後も、より志望度の高い企業から内定をもらえたことで内定辞退につながるケースも多いです。
内定辞退を防ぐためのポイント
内定辞退自体をなくすということは難しいですが、内定辞退を防ぐために重要なポイントがあります。ここでは4つご紹介します。
採用競合他社の雇用条件をリサーチし、見直しを行う
内定辞退の理由として、他社との比較で負けてしまうということも多くあるかと思います。その場合、ターゲット層が求めている労働条件を提示できていないケースもあります。改めてターゲット層がどんなことを会社に求めているか、そして採用競合他社がどんな条件で募集をかけているのかをリサーチしなおすことも大事です。
会社の様子や雰囲気が伝わるPR・選考を行う
最近は企業SNSでの採用も活発になり、InstagramやTikTok、YouTubeなどでのショート動画などで社内の様子や社員紹介などを行う企業も増えています。ホームページやオウンドメディア、求人などの文面ではわからない会社の雰囲気を感じられ、内定者のミスマッチを防ぐことに繋がります。
会社の弱みや課題などのネガティブな部分もさらけ出す
ホームページやオウンドメディア、求人票などでは、会社の良い面が書かれていることがほとんどです。「より魅力的に見せてなるべく多くの人に応募してほしい」というのが本音ではありますが、入社後のギャップによる早期離職はもちろん、内定後の不安による内定辞退を防ぐためには、選考の段階でネガティブな面も知ってもらうことが重要です。
内定者との接触頻度を増やす
内定者とのメールのやり取りや内定者研修、個人面談、内定者懇親会など、内定者とのタッチポイントを増やすことにより内定者の不安軽減や入社意欲を高められます。
入社までの期間には「自分が活躍できるのだろうか」「会社の雰囲気になじめるだろうか」など内定者も不安を感じやすいです。このような不安を事前に解消してあげられるような内定者向けイベントを考えてみましょう。
内定辞退を防ぐための有効な施策5選
では次に、内定辞退を防ぐために有効な5つの施策をご紹介していきます。
1. 社員との「交流型インターンシップ」を行う
1つ目は社員との交流型インターンシップです。パーソル総合研究所の調査「内定承諾企業と内定辞退企業における『インターンシップ内容』の違い」によれば、社員や役員との「交流型インターンシップ」は、内定承諾企業の方が内定辞退企業よりも16.8ポイントも高いという結果が出ています。反対に、「企画・提案型の特別プロジェクト」をインターンで行っている企業では、内定辞退企業の方が9.9ポイントも高くなっています。
社員や役員と直接話すことにより、会社の雰囲気がわかって入社後のイメージが湧きやすくなるので、内定承諾率も高いものと見られます。
2. 内定承諾後に社員との個人面談や懇親会を開催する
内定承諾後に社員との個人面談や内定者懇親会、社内イベントへの参加などを企画しましょう。内定から入社までは期間が空くので、入社が近づくにつれて不安を感じる内定者も多いはずです。不安を少しでも解消し、入社意欲を高められるようなイベントを開催することが大切です。
パーソル総合研究所の調査「内定者フォローの実態」によると、実施率が低いものの入社意欲を高められるイベントとして、
- ・社員との個人面談
- ・社内イベントへの参加
- ・社内・施設見学会
- ・社長・役員との懇親会
が挙げられます。もし実施をしていないイベントがあれば、ぜひ開催を検討してみてください。各社さまざまな内定者向けのイベントを開催していますが、新卒社員に対して「どんなイベントがあったらよかったか?」などをリサーチしてみることもおすすめです。
3. SNSで社内の発信を行う
採用にSNSを活用することで、会社の様子や社員の雰囲気などをよりわかりやすく伝えることができるようになります。ホームページやオウンドメディアだけでは伝わりきらない情報を伝えることができるので、入社のイメージが湧きやすくなり、ミスマッチを防ぐことにも繋がります。
拡散力の強いInstagramのリールやX(Twitter)、TikTokなどを活用すれば、より多くのターゲットにリーチすることができるので、応募者数増加も見込める施策です。
株式会社No Campanyの調査「Z世代就活生のSNS利用に関する実態調査(2023年)」によれば、就活生が発信してほしいと感じている情報としてトップ3となったのが「1日の仕事の流れ」「社内の人間関係・職場の雰囲気」「福利厚生」でした。これらを中心に発信を行うことで、会社のリアルを理解してもらうことができ、内定後の不安を減らすことができます。
4. 面接や選考対応に不備がないかを確認する
選考時の採用担当の対応や面接官の雰囲気なども、就活生は重視しています。
就活生の視点で考えた時に、
- ・メールやSNSでの対応は遅くないか
- ・面接の雰囲気は良好か、高圧的ではないか
などを再度確認しましょう。
面接は「会社が選ぶ=優位」ではなく、会社も就活生も対等な取引の場です。今後一緒に仕事をしていくかもしれない就活生に対して、対等な関わり方が出来ているかを今一度振り返っておきましょう。
5. ターゲットの市場に合わせた雇用条件の見直し
打ち出している雇用条件はターゲットの就活生に見合ったものになっていますか?ターゲットの重視する項目が変化して、採用競合他社と比べて魅力的ではない条件になってしまっている可能性もあります。他社と比較されたときに選んでもらえるよう、ターゲットの就活生にとって魅力的な雇用条件に見直すことが大切です。
SNSは内定辞退を防ぐ大きな手立てになる
内定辞退を防ぐ施策の一つとしてご紹介したSNSは、内定辞退を防ぐ大きな手立てとして注目されています。
SNSを採用に活用するメリット
採用にSNSを活用することで以下のようなメリットがあります。
リアルな会社の様子や社員の雰囲気を知ってもらえる
SNSを使うことでリアルな会社の様子や社員の雰囲気を知ってもらうことができます。ありのままの会社の様子を知ってもらうことでミスマッチを防いだり、会社で働くイメージが湧き、就活生の興味付けを行うこともできます。
拡散力が強く、就職潜在層にもリーチできる
SNSの中でもInstagramやTikTok、X(Twitter)などは拡散力の大きい媒体なので、より多くのユーザーに会社のことを知ってもらうことができます。就活をしている大学3、4年生だけでなく、今後就活を控えている大学1、2年生にも興味を持ってもらうことができ、長期的なブランディングを行うことも可能です。
就活生の多くがSNSを日常的に使い、就活にも利用している
何よりも、就活生(Z世代)のほとんどがSNSを日常的に使い、就活を含めた多くの情報収集を行っている現状があります。ターゲットである層が多く利用をしており、かつ就活に関する情報収集も行っていると考えると、とても有効なアプローチと言えます。
ターゲットを絞って広告を打てる
SNSの広告はターゲットに絞って広告を出すことができます。「いいね」やコメントなどのアクションから興味・関心などを細かく絞り込んだり、居住地や年齢、性別などによってターゲティングを行い広告を打てるので、狙ったターゲットに応募してもらいやすくなるというメリットもあります。
コストを抑えながら採用活動を行うことができる
なんといってもSNSは無料で始めることができます。広告にはお金がかかりますが、それ以外は費用がかからないので、コストを大幅に抑えながら採用活動を行えるというメリットもあります。
DMやストーリーズを使ってユーザーとコミュニケーションを取ることができる
SNSではDMやストーリーズで双方向のコミュニケーションを取ることができます。DMで質問に答えたり、投稿のコメントに対して返信をしたり、ストーリーズで質問を募集して回答したりと、直接やり取りを行うことで会社に興味を持ってもらったり、会社のことを知ってもらったりすることができます。
SNS採用の主流
採用にSNSを使う企業も増えていますが、現在のSNS採用の主流は以下の流れとなっています。
TikTokやInstagram、X(Twitter)などは拡散力が強くフォロワー以外にもリーチするので、認知を広げることが可能です。そのあと、興味を持ったユーザーがInstagramのフィード投稿やストーリーズ、X(Twitter)の過去のツイート、YouTubeなどを見て関心を持ちフォローします。
そしてその中でも応募したいという意欲の高い就活生を公式LINEに集めていきます。LINEはほとんどの就活生がアカウントを持っているためメッセージの開封率も高く、メッセージのやり取りをしやすいのが特徴です。公式LINEを使ってタッチポイントを増やしながら応募者や内定者のフォローをしていきましょう。
採用にSNSを使う場合の注意点
採用におけるSNSにはメリットが多いですが、使う際の注意点もあります。
ブランドイメージ低下のリスクも伴う
SNSはその拡散性の強さから、投稿が炎上してしまうこともあります。実際に採用担当における不適切な発言や行動が原因で炎上してしまった企業もあります。ブランドイメージの低下はもちろん、応募者の減少につながる可能性も考えられるということを念頭に置き、投稿内容に気を付けて発信することが大事です。
効果を感じるまでに時間がかかる
SNSはアカウントを作成してから、フォロワー数が増えたり投稿が拡散されるのに少し時間がかかります。応募者の増加につながるのはまたその先なので、すぐに効果を見込むことは難しくなります。まずはトレンドの投稿を参考しながら投稿をしてフォロワーを増やし、時間をかけてアカウントを育てていきましょう。
人的リソースが必要になる
SNS運用にはコストがかからない反面、人的なリソースが必要となります。投稿作成や動画作成には少なくとも時間がかかりますし、投稿の分析やトレンドのリサーチなども行わなければなりません。また、社員インタビューなどを行うのであれば、会社全体で社員に協力をしてもらう必要も出てきます。
内定辞退防止には【入社後をイメージさせる】ことがカギになる
内定辞退を防ぐには、就活生に入社後の様子をイメージしてもらえるように発信をし、ミスマッチを防いでいくことがとても重要です。SNSなどでの募集の段階や説明会、面接、そして内定後まで、入社後のイメージが湧き不安を払拭させられるようなイベントを開催することで内定辞退を防ぐことにつながるでしょう。
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