企業のSNS炎上へ備える!謝罪文作成の基本と作成のコツ

SNS時代において、炎上や批判は避けられない課題です。企業の広報担当者として、組織やブランドの信頼を守り、問題を円滑に解決するために謝罪文が不可欠です。しかし、多くの広報担当者は、正しい謝罪文の作成に関して不安を抱えているのではないでしょうか。

謝罪文は、ただ急いでお詫びの言葉を述べるだけのものではありません。迅速な謝罪は重要ですが、何が書かれているかがさらに重要です。

この記事では、謝罪文の基本的な要素やポイントを解説し、実際の事例もご紹介しながら、企業の広報担当の皆さんが自信を持って謝罪文を作成できるようなお役立ち情報をご提供いたします。成功の秘訣を探り、実例に学び、将来のクライシスに備えましょう。

また、もしもの時に使える「謝罪エラーチェックシート」をご用意しました。炎上による謝罪をしなければいけない状況になる前に、ぜひ事前準備としてご活用ください。

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謝罪文の力:信頼の回復への道

SNSの時代において、情報は瞬時に拡散し、誤解や炎上のリスクが高まりました。企業や組織、個人が問題に巻き込まれた際、謝罪文は強力なツールです。なぜなら、それは誠実さ、説明、そして改善への意欲を伝え、信頼を取り戻すのに役立つからです。

謝罪文は、信頼の損失を最小限に抑え、状況をコントロールする不可欠な手段です。しかし、謝罪文を効果的に活用するためには、その役割と目的を理解することが不可欠です。

謝罪文の役割と目的

謝罪文にはいくつかの主要な役割と目的があります。

謝罪文の役割と目的は、①誠実な謝罪②状況の説明③処置と改善の示唆④信頼の回復

1. 誠実な謝罪

謝罪文はまず、誠実な謝罪を伝えることが重要です。問題を認め、その結果生じた不快な状況に責任を受け入れることは信頼の基盤です。

2. 状況の説明

謝罪文は問題の背景や原因について説明する場でもあります。誤解を解き、情報の不足を埋めることで、透明性を示します。

3. 処置と改善策の示唆

謝罪文は問題の再発防止策や今後の対策を提案する場でもあります。同じ問題が再び発生しないよう努力する姿勢を示すことが必要です。

4. 信頼の回復

最終的な目的は、信頼を回復し、状況を改善することです。謝罪文を通じて、読者に企業や組織、個人への信頼を取り戻すための道を示します。

これらの役割と目的を果たすために、謝罪文は正しい構造や要素を持ち、誠実で効果的なコミュニケーションを行うことが必要です。次のセクションで、謝罪文の要素とポイントについて詳しく説明していきます。

謝罪文の成功のカギ

謝罪文を作成するためには、正しい構造と基本ステップを理解することが不可欠です。以下は、謝罪文の基本的な構造とステップです。

1. 誠実に謝罪する

謝罪文の冒頭では、直接的で誠実な謝罪を伝えましょう。問題への認識を示すことで、信頼を築きます。謝罪は感情的で真摯であるべきで、読者がその誠実さを感じるように心がけましょう。

2. 問題の原因を説明する

問題の背景や原因について説明し、読者に状況を理解させましょう。情報の不足や誤解は信頼を崩す要因となるため、透明性が求められます。

3. 責任の受容を示す

問題に対する責任を受け入れ、過去の出来事に責任を持つ姿勢を示しましょう。責任の受容は信頼回復の基盤となります。

4. 処置の説明と再発防止策を提案する

問題の解決に向けた具体的な措置や改善策を提案しましょう。読者に対して不安や疑念を解消し、同様の問題が再発しないよう努力する意思を示すことが大切です。再発防止策は信頼の回復と未来への信頼性を高める要素です。

5. 締めくくりに再度謝罪の意を表明する

謝罪文の最後には、再度謝罪の意を表明し、信頼の回復への意志を強調しましょう。前向きなメッセージを送り、ポジティブな印象を与えることが重要です。

謝罪文を書く際に押さえておきたいポイント

4W+1Hの謝罪文

謝罪文を書く際に押さえておきべき最低限の要素は、「4W+1H」と呼ばれる5つのポイントに要約できます。

謝罪文を構成するための基本的な要素4W1Hとは、What、Who、Why、Will、How
  • What(何): 何が問題となったのか
  • Who(誰): どの人々に影響を及ぼしたのか
  • Why(なぜ): なぜ問題が発生したのか
  • Will(意志): どのような対策を講じるつもりなのか
  • How(方法): どのような処分を下すのか

これらは、謝罪文を構成するための基本的な要素であり、特に「Will(意志)」と「How(方法)」については注意が必要です。

Will(意志):どのような対策を講じるつもりなのか」については、問題の根本的な対策が具体的であることが不可欠です。的外れな対策を提案すると、組織が問題の本質を理解していないと受け取られる可能性が高まります。

また、「How(方法):どのような処分を下すのか」は、炎上を収めるための効果的な方法の一つです。処分の具体的な内容を詳細に説明せず、表面的な情報の提供だけで終わるのは望ましくありません。なぜなら、SNSユーザーが最も関心を持つのは、「処分の結果、問題を引き起こした人物にどのような制裁が加えられるのか」についての具体的な情報だからです。表面的な情報だけを提供すると、ユーザーは不満を抱える可能性が高まり、問題について詳細に調べる動機が高まるかもしれません。

2. 「謝罪風の謝罪」を避ける

謝罪風の謝罪とは、誤った謝罪の結果、問題が悪化し、炎上が収束するどころか、さらなる炎上や問題の長期化を引き起こす危険な謝罪方法

謝罪風の謝罪」という言葉をご存知でしょうか?謝罪風の謝罪は、誤った謝罪の結果、問題が悪化し、炎上が収束するどころか、さらなる炎上や問題の長期化を引き起こす危険な謝罪方法です。

謝罪風の謝罪の中でも、最も多い実例が「ご不快構文」と呼ばれるものです。例えば、「~、不快に感じた方がいらっしゃいましたら、深くお詫び申し上げます。」といった表現があります。一見何の問題もないと思われる謝罪文ですが、「不快に思った人がいたかもしれないけど、それは受け止め方の問題であって、企業の問題ではない」と言外に伝えてしまっていることになります。

そもそも「不快感」は主観的であり、誰かが感じる感情の問題なので、企業や個人がその感情に謝罪することは適切ではありません。従って、謝罪が必要なのは「不適切な行為」に対してであり、感情そのものに対してではありません。謝罪文を作成する際は、謝罪の本質を理解し、謝罪風の謝罪を避けるよう心がけましょう

謝罪文の炎上事例から学ぶ、炎上要因と対策

炎上事例①:自動車ディーラー

自動車ディーラーのイメージ画像。車のフロントガラスに値段が貼ってある。

2023年5月2日、SNS上で自動車ディーラーにおける炎上事例が大きな注目を浴びました。事の発端は、従業員が障害者を揶揄する動画を拡散したことでした。この状況に対処するため、自動車ディーラーは謝罪文を発表しましたが、残念ながらそれがさらなる非難を招きました。この事例から学ぶべき教訓と今後の対応について考察します。

炎上の背景

自動車ディーラーの炎上事例は、従業員が障害者を揶揄する動画がSNSで広まったことから始まりました。動画には、作業着を着た従業員の男性が首を傾けながら電動車いすを操作し、周囲からは笑い声も聞こえる様子が映し出されていました。当然ながら、この動画はSNSユーザーから大きな批判を浴びることとなり、自動車ディーラーに対する非難が相次ぎました。

謝罪文が非難を浴びた要因

自動車ディーラーは、炎上事態を収拾しようと謝罪文を公表しました。一般的な謝罪文の要素は含まれており、過ちを認め、謝罪の意を表明しています。しかし、その内容には非難を受けた要因がいくつか見受けられたのです。

1. 謝罪の誠実さ

謝罪文において、自動車ディーラーは炎上動画についての謝罪を行いましたが、その文面に不信感をいだきました。「障害者を揶揄するつもりはなかった」とありますが、動画を見ると、どうみても障害者を揶揄しているようにしか見えないのです。ファンや一般のユーザーは、謝罪が本心から出たものではないのでは?と、疑いの眼差しを向けました。

2. 責任の受容

謝罪文では、従業員の行為についての具体的な責任の受容が不明確でした。従業員に対する処分や教育についての言及がなかったことが非難の要因となりました。

3. 炎上原因への対策

謝罪文において、今後の炎上事態を防ぐための具体的な対策や改善策が示されていなかったことも非難を招いました。

自動車ディーラーの謝罪文に対するSNSでの反応

  • 自動車ディーラーの謝罪文、誠実さに欠けてるよね…。これじゃ信頼回復なんて難しいんじゃない?
  • あの謝罪文、責任感じられないし、何か隠してるんじゃないの?
  • 自動車ディーラー、この謝罪じゃフォロワー減るの必至だよ。信頼回復したいならもっと真剣に取り組んで!
  • 信じられない。自動車ディーラー、これが謝罪の仕方だと思ってるのか?非難されるのも当然だよ。
  • 自動車ディーラーにガッカリ。謝罪文見て、こっちが謝罪しそうになった…

炎上事例②:コラボレーションカフェ運営企業

コラボレーションカフェのイメージ画像。ポスターやキャラクターなどが壁にある。

2023年1月17日、女性向けゲームブランドとのコラボレーションカフェを運営する企業が、コラボカフェの公式Twitterアカウントで行った不適切な投稿について謝罪しました。この事例は、SNS上での炎上を招き、適切な対応が求められる事例となりました。

炎上の背景

コラボレーションカフェ運営企業は、女性向けゲームブランドの人気ゲーム作品とコラボレーションし、ゲームファンや女性向けコンテンツ愛好者に向けたカフェを提供しています。しかし、1月17日に、公式Twitterアカウントで行った懸賞キャンペーンの投稿が問題となりました。この投稿が不適切と受け止められ、SNSユーザーから非難や不快感を受ける事態となりました。

謝罪文が非難を浴びた要因

1. 問題の認識の不足

謝罪文では、問題の性質や深刻さについて明確な認識が不足していました。問題が不適切な投稿とされていたにもかかわらず、謝罪文ではその詳細や問題点に触れないまま、謝罪の意を表明していました。これにより、ユーザーからは企業が問題を真剣に受け止めているのか疑念の目が向けられました。

2. 謝罪の誠実さの欠如

謝罪文のトーンや表現が、誠実さを欠いていたことが非難の一因となりました。謝罪の言葉が抽象的で、具体的な反省や改善の意思が感じられませんでした。ユーザーからは、謝罪が形式的であると受け取られ、不快感を増幅させる結果となりました。

3. 対策や改善策の不足

謝罪文には、今後の対策や改善策についての具体的な記述が不足していました。問題の再発防止策や、同様の事態が発生しないための措置について触れられていなかったため、ユーザーからは企業の誠実な改善意欲に疑念を抱かせる結果となりました。

コラボレーションカフェの謝罪文に対するSNSの反応

  • コラボカフェの謝罪文、誠実で感情的になってないか?ちゃんと謝罪の気持ちを伝えないと…
  • この謝罪、感情論に頼りすぎてると思う。問題の原因と対策を示せってば
  • 本当に改善する気あるのか不安。単なるお詫びじゃなくて、行動で示してほしい
  • 謝罪文には誠実さを感じない。感情的な言葉よりも具体的な行動計画を示すべき!
  • コラボカフェの謝罪文がイマイチだと感じる。フォロワーの期待に応えられるかどうかが大事。

炎上実例から学ぶ謝罪文成功のコツ

謝罪文は、SNS上での炎上や問題の際に不可欠なコミュニケーションツールです。適切な謝罪文を発表することで、信頼を回復し、フォロワーや顧客との信頼関係を維持できます。以下に、炎上実例から学ぶ謝罪文の成功のコツをご紹介します。

謝罪文成功のコツは、誠実さと共感性、責任の受容と透明性、迅速かつ適切な行動の3つ

1. 誠実さと共感性

謝罪文は誠実で感情的に訴えるべきです。問題を軽視せず、被害者や影響を受けた人々への共感を示すことが重要です。誠実な言葉で問題を受け止め、謝罪の気持ちを表現しましょう。

2. 責任の受容と透明性

問題の原因や責任を逃れずに受け入れましょう。隠蔽や言い逃れは逆効果です。問題のルート原因を特定し、具体的な対策や改善策を提示し、今後の再発を防ぐ計画を示しましょう。

3. 迅速かつ適切な行動

問題発生後、速やかに謝罪文を公開しましょう。適切な行動を取り、問題解決に向けた努力を明確に示すことが大切です。また、フォロワーや顧客からの意見や疑念に対応し、オープンでコミュニケーションを取ることが信頼の鍵です。

これらのコツを実践することで、謝罪文が成功し、フォロワーや顧客との信頼関係を維持・回復できます。炎上事態に備え、適切な謝罪文の作成と実施に努めましょう。

万が一炎上した場合でも正しい謝罪対応を行うには

SNSは現代のコミュニケーションにおいて非常に重要なツールとなっていますが、その一方でSNS上でのトラブルや炎上は避けがたいリスクの1つです。しかし、トラブルが発生した際に適切な謝罪文を発表することで、信頼を回復し、フォロワーや顧客との信頼関係を損なわないようにすることができます。この記事を参考に、万が一の場合でも誠実で正しい謝罪対応ができる準備をしておきましょう。

万が一、炎上による謝罪をしなければいけない状況になった場合のNGな対応方法をリストアップした「【もしもの時に使える】謝罪エラーチェックシート」も無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。