世間を賑わせているSNS炎上。もし、自分の会社でSNS炎上がおこってしまったら？と考えてみたことはありますか？予想外の死角から炎上の火種が生まれる現代、100％防ぐことは不可能です。炎上への対応次第で企業の未来は大きく分かれます。危機をチャンスに変え称賛される神対応企業となるのか、それとも批判が重なり廃業の道をたどるのか。その分かれ道を見極めるポイントを整理していきましょう。
目次
もし、あなたの会社でSNS炎上がおきてしまったら？
SNS炎上の火種は、想像以上に多岐にわたります。たとえば、以下のような事例が挙げられます。
こうした炎上はどの企業にも起こり得る問題です。同業他社が炎上した際、「もし自社だったらどう対応するか？」を具体的に考えたことはありますか？炎上の原因は何なのか、どのように初期対応を行うべきなのか、そして被害を最小限に抑えるためのプロセスとは何か。事前にこれらを議論し、対策を練ることが企業の存続において重要です。
炎上リスクをゼロにすることは不可能。「炎上したらどうするのか」に備えよ
今やSNSマーケティングの有無に関わらず、どの企業も炎上のリスクを抱えています。炎上が起これば、株価の下落、売上の減少、離職率の増加、採用の停滞、さらには事業継続の危機にまで発展する可能性があります。これらの影響は、企業の信頼やブランド価値を長期間にわたり損なう深刻なリスクです。だからこそ、炎上対策は「起こさないための予防策」だけでは不十分です。「炎上が発生した場合、どう対応するのか」を具体的に想定し、備えることが重要です。対応の早さや正確さが、被害を最小限に抑える鍵となります。
多くの企業は、こうしたリスクを前提に炎上対策やデジタルリスク管理に投資を増やしつつ、攻めのマーケティング戦略を追求しています。もはや、炎上対策の準備を怠ることは競争優位を失うことと同義です。
炎上リスクが高い企業の特徴とその背景
炎上を長引かせる企業には共通する特徴があります。それは、組織文化やガバナンスの欠如に起因するものです。具体的には以下のような要素が挙げられます。
炎上の原因は単一ではなく、長年蓄積された組織の構造的な問題が根底にあります。これらを改善しない限り、炎上リスクを根本的に下げることはできません。炎上を防ぐには、透明性の高い文化や適切なガバナンスを整えることが欠かせません。
炎上するとどうなる？企業がたどるシナリオと世間の厳しい目
SNS炎上は瞬時に広がり、企業にとって致命的なダメージを与えるリスクがあります。炎上が起きた際、世間は企業の対応に厳しい目を向け、適切な対処が求められます。しかし、誤った炎上対応をしてしまうと、炎上はさらに悪化する可能性があります。
炎上時に避けるべき行動
1.投稿の即時削除
投稿を削除しても「隠蔽」とみなされるだけでなく、スクリーンショットが拡散されることで事態は悪化します。
2.本質を捉えない謝罪
問題の本質を理解せずに行う謝罪は、火に油を注ぎかねません。不誠実な対応と判断されることがあります。
3．炎上対応の遅延
迅速な情報発信が求められる中、発表が遅れると「無責任」「逃げている」といった印象を与え、信頼がさらに損なわれます。
炎上対応で重要なポイント
1.スピード感を持った対応
世間は迅速な反応を期待しています。原因究明、関係各所への連絡、適切な対応を迅速に行うことで、拡散や被害の拡大を最小限に抑えることが可能です。
2.誠実で明確な情報発信
透明性を持ち、事実に基づいた正確な情報を発信することが信頼回復の鍵です。
3.専門家のアドバイスを活用
社内対応のみではリスクが高いため、デジタルリスクの専門家のサポートを受けることで、最適な解決策を導き出せます。
炎上は避けられるものではありませんが、その後の対応によって企業の評判は大きく変わります。適切な準備と専門的なサポートを活用し、危機管理能力を高めることが重要です。
過去の炎上事例から学ぶ～炎上した企業が辿るシナリオ～
炎上を経験した企業の事例から、その対応の成否が企業の未来にどのような影響を与えるかを見ていきましょう。
事例1：自動車業界での保険金水増し問題（2023年7月）
自動車修理費の保険金を水増し請求するため、故意に車を損傷させた行為が発覚し炎上しました。責任を問われた社長は辞任を表明しましたが、「経営陣は知らなかった」という発言が、無責任な態度として批判を浴び、炎上が加速しました。その後、除草剤の不適切使用やパワハラ問題など、企業の隠蔽体質が次々と明るみに出る事態に発展しました。
事例2：飲食店の離乳食無料提供キャンペーン（2023年4月）
子育て世代を応援するために離乳食の無料提供を発表した飲食店。しかし、それまでのターゲット層であった「キャリアウーマン」から、「女性が一人で入りやすい店だったのに赤ちゃん連れで落ち着けなくなる」という批判が寄せられ、炎上しました。この状況を受け、飲食店は毅然とした声明を発表。これまでに様々な社会問題、食のバリアフリー化を推進する取り組みを行ってきたことと共に「私たちは、お客様を年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません。私たちは、私たちの商品やサービスに価値を見出していただけるすべての方々に喜んでいただけますように心から願っています」とのメッセージを発信し、多くの人々から信頼を得る結果となりました。
事例3：ルーマニアのチョコメーカー
炎上商法とは、最初からわざと炎上を起こすのを承知で仕向けて、SNSやマスメディアで取り上げられるように戦略的に炎上させるマーケティング方法を言います。
ルーマニアのチョコメーカーは、長年愛されてきた国旗デザインのパッケージを「アメリカ国旗」に変更するプロモーションを仕掛けました。これにより、ルーマニア国民の愛国心が刺激され、批判が炎上。その結果、各メディアが取り上げ、大きな話題となりました。後に「ジョーク」であることを発表すると、再び注目を集め、商品の売上は急増しました。この成功は、炎上商法が緻密なマーケティング戦略と連携して初めて効果を発揮することを示しています。
事例4：芸能事務所性加害問題（2023年7月）
炎上を無視することは、企業や組織にとって深刻なリスクを伴います。その代表例が、2023年に発生した芸能事務所の性加害問題です。
2023年3月7日、イギリスの報道局が芸能事務所の故社長による性加害問題を報じ、国内メディアも連日ニュースで取り上げる事態となりました。しかし、事務所のトップが声明を発表したのは、それから2カ月以上が経過した5月14日。これだけの時間を要したことで、「問題から逃げている」「不誠実」といった批判が強まりました。
この事例が示すように、炎上の論調によっては、無視することで事態を悪化させてしまう可能性があります。特に、重大な問題が発覚した場合は、迅速な対応と誠実な情報発信が不可欠です。沈黙ではなく、適切な行動によって信頼回復の道を模索するべきでしょう。
炎上で転落する企業になる？炎上でファンが増える神対応企業になる？
明暗を分ける謝罪文 ～ご不快構文は絶対NG～
「謝罪風の謝罪」という言葉をご存知でしょうか？謝罪風の謝罪は、誤った謝罪の結果、問題が悪化し、炎上が収束するどころか、さらなる炎上や問題の長期化を引き起こす危険な謝罪方法です。
謝罪風の謝罪の中でも、最も多い実例が「ご不快構文」と呼ばれるものです。例えば、「～、不快に感じた方がいらっしゃいましたら、深くお詫び申し上げます。」といった表現があります。一見何の問題もないと思われる謝罪文ですが、「不快に思った人がいたかもしれないけど、それは受け止め方の問題であって、企業の問題ではない」という印象を与えかねません。このような表現は、さらなる批判や不信感を招く原因になります。謝罪文を作成する際は、謝罪の本質を理解し、謝罪風の謝罪を避けるよう心がけましょう。
謝罪会見 ～メディア対応の準備が成功の鍵～
謝罪会見は企業の信頼を取り戻すための重要な場ですが、対応を誤ると逆効果になるリスクがあります。謝罪会見を成功させるために、事前対策としてメディアトレーニングを取り入れることも有効です。
炎上時対応のベストプラクティスとは
炎上対応の適切な方法は、ケースバイケースです。謝罪すべきか否か、どのような声明を出すべきかは慎重な判断が求められます。
炎上対応プロジェクトの立ち上げが鍵
炎上は避けられないリスクとして捉え、専門家と協力して事前に「炎上対応プロジェクト」を設計しておきましょう。初動対応、声明の内容、再発防止策まで、あらゆるシナリオを想定して備えることが重要です。
炎上時の対応は、企業の印象を良くも悪くも変える重要な局面です。迅速かつ誠実な対応、そして明確な判断基準を持つことが、信頼を守る鍵となります。専門家のアドバイスを活用し、炎上対応力を強化することをおすすめします。
万が一、炎上による謝罪をしなければいけない状況になった場合のNGな対応方法をリストアップした「【もしもの時に使える】謝罪エラーチェックシート」も無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。
まとめ
SNSはかつて「顧客と企業をつなぐ信頼獲得のツール」でしたが、現在では「攻めの広告ツール」であり、同時に「徹底したリスク管理が求められる場」に変化しています。SNS炎上はもはや完全に防ぐことが不可能なリスクとして、すべての企業にとって現実的な課題となっています。
かつては些細なクレームのひとつで済んでいたものも、SNSの発展や炎上のエンターテイメント化により、企業を廃業に追い込む事態へと発展するケースが増えています。しかし、企業の評判を決定づけるのは、炎上そのものではなく、その後の対応次第です。有事への迅速な対応は、企業の誠実さや責任感を評価する重要な要素です。事前に適切なフローを整備している企業とそうでない企業では、その後の企業イメージに天と地の差が生じます。
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炎上リスクに備えるには、専門的な知識や経験が欠かせません。外部のデジタルリスクの専門会社と連携し、炎上時の対応策やフローを整備することで、信頼を守り、迅速な回復を実現できます。SNS炎上は避けられないリスクとして捉え、適切な対応力を備えることで、企業の未来を守りましょう。
