ギフティングとはインフルエンサーに自社の商品やサービスを提供し、口コミを投稿してもらう施策のことを指します。SNS上で大きな影響力を持つインフルエンサーを起用することでより効果的に認知拡大・売上増加につなげられるという施策で、SNSを運用している企業で実施され始めています。
本記事では、そんなギフティングの意味やメリット・デメリット、実施の流れ、注意点などをご紹介していきます。これからインフルエンサーを活用してSNSをさらに伸ばしていきたいと考えている方はぜひご覧ください。
目次
ギフティングとは
ギフティングとは、SNSで影響力のあるインフルエンサーに自社の商品やサービスを実際に使ってもらい、その口コミをSNSに投稿してもらうPR施策のことです。インフルエンサーはSNSにおいて圧倒的な拡散力と影響力を持っているため、インフルエンサーに依頼をすることで購買に繋がりやすくなります。また消費者に近いインフルエンサーが投稿することで広告感が薄くなり、自然な形で商品やサービスをPRできるのが魅力です。
株式会社オリゾ「Z世代の購買動機と情報収集に関する実態調査」によれば、SNS利用率の高いZ世代が“購入を迷ったときに最も参考にするもの”の1位が「口コミ/レビューサイト」であるというデータもあります。
商品を購入する際に「SNSでのハッシュタグや口コミ、レビューを確認する」という手順を踏んでいる人が大変増えているという背景もあり、インフルエンサーを活用したギフティングが多くの企業で行われているようです。
ギフティングの種類と特徴
ギフティングには「無償ギフティング」と「有償ギフティング」の2種類があります。それぞれの特徴をご紹介していきます。
無償ギフティング
無償ギフティングは、商品やサービスをインフルエンサーに無償で提供し、口コミ投稿も無償で行ってもらう施策です。無償で提供して口コミ投稿を行ってもらうため、コストをかけずに認知拡大を行える点が魅力です。しかし無償なので、実際に投稿することを強制することはできませんし、投稿の内容を指定することもできません。
有償ギフティング
有償ギフティングは、商品やサービスをインフルエンサーに提供し、報酬を支払って口コミ投稿してもらう施策です。報酬を支払って契約をするため、インフルエンサーにも引き受けてもらいやすくなります。また投稿の内容を企業側からある程度指定することも可能なので、訴求してほしいポイントを投稿に反映してもらえます。
ギフティングのメリット・デメリット
ではここで、ギフティングを行うメリット・デメリットをご紹介していきます。
ギフティングのメリット
従来の広告よりも受け入れてもらいやすい
ギフティングでインフルエンサーに口コミ投稿をしてもらうことで、従来の企業の広告よりも自然な形で商品やサービスをPRすることができます。インフルエンサーは消費者の1人として口コミを発信するため、ユーザーも共感をしやすく「押し売りされている」という感覚になりにくいことが理由として考えられます。またインフルエンサーにはファンも多くついているため、「この人がおすすめするなら買いたい」と思ってもらいやすいです。
潜在層にもリーチを拡大できる
インフルエンサーはSNS上で圧倒的な影響力と拡散力を持っているため、口コミ投稿を行ってもらうことで、商品やサービスをまだ知らない層にもリーチを拡大することができます。企業の公式SNSではリーチできる範囲に限界があるので、インフルエンサーの力を借りることでより多くの人に自社の商品・サービスを知ってもらうことができます。
口コミでの拡散を期待できる
インフルエンサーの投稿や発言はSNS上で大きな影響を与えます。投稿を見たユーザーがリツイートや共有をしたり、実際に購入して口コミを投稿したりすることで余波が広がり、さらなる拡散を期待できます。今までのSNS発信では届き切らなかったような人にまで、商品やサービスを認知してもらえる可能性が高まります。
ギフティングのデメリット
費用対効果がわかりにくい
インフルエンサーの投稿からどのくらい認知が広がるのかは、インフルエンサーによって差があるため、費用対効果が図りづらいというデメリットもあります。ギフティングによる効果の確証もないため、少しずつ導入をしていきながら効果測定を行っていく必要があります。
ステマに該当する可能性がある
プロモーション(宣伝)であることを明確に記載せずに投稿を行ってしまうと、ステルスマーケティング(ステマ)に該当してしまう可能性があります。ステマは景品表示法違反であり、ステマに該当してしまうと消費者庁からの注意喚起はもちろん、ネットニュースに取り上げられてブランドイメージの低下にも繋がっていきます。投稿の際にキャプションやハッシュタグで広告であることを伝えてもらうか、タイアップ投稿に設定をすることでステマ対策を行うことができます。
ギフティング実施の流れ
ではここから、ギフティングを実施する流れを詳しくご説明していきます。
1. ギフティングを行う目的の明確化
まずはギフティングを行う目的を明確にしておきましょう。ギフティングの目的は大きく「認知拡大」と「売上拡大」の2つがあります。ギフティングの目的によって、インフルエンサーにどんな投稿をしてもらうのか、どんな項目で投稿の効果測定を行うのかなどが変わってきます。社外のインフルエンサーも関わるような施策になるため、施策の途中で目的のズレが起きないように事前に明確にしておきましょう。
2. インフルエンサーの選定
続いてインフルエンサーの選定を行っていきます。インフルエンサーの選定方法としては、自社で選定を行って直接依頼する方法とインフルエンサー代理店に依頼する方法があります。
インフルエンサーの選定において最も大事なのが、ターゲット層に合ったインフルエンサーかどうか、という観点です。SNSでの影響力という意味では、フォロワー数の多いインフルエンサーを選んでしまいそうですが、
- ・インフルエンサーのフォロワーにターゲット層は多くいるのか
- ・インフルエンサーの投稿スタイルが自社のブランドイメージと合致するのか
- ・インフルエンサーに炎上リスクはなさそうか
などを考慮してインフルエンサーを選んでいく必要があります。これらがズレてしまっている場合、せっかくギフティングを行っても効果が薄くなってしまいます。ギフティングにおいてはこのインフルエンサーの選定がとても重要になるので、時間をかけて丁寧に選定を行っていきましょう。
3. インフルエンサーへの依頼・契約
インフルエンサーの選定が終わったら、インフルエンサーへの依頼を行いましょう。無償ギフティングの場合はサンプルの提供に近い形になるため契約は行いません。一方で有償ギフティングの場合は報酬が発生するため、契約期間や報酬体系、コンプライアンス・秘密保持に関する取り決めを行う必要が出てきます。
- ◆インフルエンサーへの依頼内容
- ・企業名/住所/連絡先
- ・担当者名
- ・PRを依頼したい商品・サービスの説明と依頼(商品・サービスのURL等あれば)
- ・PRしたいターゲット層(年齢、性別、特徴)
- ◆契約時の取り決め事項
- ・契約期間
- ・納品物(依頼する業務)
- ・報酬(単価/支払方法/支払時期/経費などの条件)
- ・コンテンツの権利の帰属先(作成したコンテンツの知的財産権が誰に帰属するのか)
- ・禁止事項・コンプライアンス(広告の表示必須、著作権に関する注意等)
- ・秘密保持
4. 商品・サービスの提供と投稿の実施
インフルエンサーとの契約が完了したら、自社の商品・サービスの提供を行いましょう。契約した内容に応じてインフルエンサーがコンテンツを作成し、投稿します。有償ギフティングであればインフルエンサーが作成した内容を事前に確認し、禁止事項に該当していないかをチェックしましょう。
また無償ギフティングでも有償ギフティングでも、依頼した投稿のモニタリングを行い、コメント欄に炎上の火種がないかをチェックしておくことが大切です。
5. 効果測定を行う
投稿が出来たら必ず効果測定を行っていきましょう。認知拡大が目的であれば、投稿のエンゲージメントやフォロワー数などの増加をKPIに、売上拡大が目的であれば、LPのクリック率や売上の増加などをKPIとして、実際に効果が出ているかを確認していきます。
効果がいまいちと感じた場合は、再度インフルエンサーの選定を行い、別のインフルエンサーとの投稿の反応を比較することで、より自社の商品・サービスに合ったインフルエンサーを見つけることができます。
ギフティングの注意点
では実際にギフティングを施策として行っていく上で、注意しておきたいポイントをご紹介していきます。
インフルエンサーの選定を重視する
ここまでご紹介してきた通り、ギフティングではインフルエンサーの選定が命です。フォロワーにターゲットが多くいるのか、自社のブランドイメージと合っているか等を事前にしっかり吟味し、選定を進めていきましょう。
無償ギフティングの場合は投稿を強制しない
無償ギフティングの場合は報酬が発生しないため、投稿は強制しないようにしましょう。強制をしてしまうと印象を損ね、次回以降の依頼を引き受けてもらいにくくもなったり、インフルエンサー間での悪い噂として広まってしまったりする可能性もあります。
また有償ギフティングであれば投稿のスタイルや訴求ポイントなどを伝えて投稿に反映をしてもらえますが、無償ギフティングの場合はそれらの指定ができません。こちらも契約を交わしているわけではないため、投稿内容を強制しないように気を付けましょう。
投稿内容を指定しすぎない
有償ギフティングであれば事前に投稿スタイルや内容、訴求ポイントなどを指定することができますが、企業側で指定しすぎてしまうことにより、インフルエンサーのらしさや世界観を損ねてしまうこともあります。インフルエンサーは自身のSNSの世界観をとても大事にしており、フォロワーの多くもその世界観を好んでフォローしています。
インフルエンサーの世界観から外れた投稿をしてしまうことで、インフルエンサーのフォロワーが減ってしまったり、効果的なPR効果を見込めなかったりと、双方にマイナスな影響が出てしまいます。事前にしっかりと投稿に関してすり合わせを行っておくことが大切です。
ステマに該当しないように注意する
先ほどもご紹介をした通り、広告主とのプロモーション関係を明示していない投稿はステルスマーケティング(ステマ)に該当し、景品表示法違反になってしまいます。無償ギフティングの場合も有償ギフティングの場合も、ハッシュタグやキャプションにPRであることを記載してもらうように伝えておきましょう。事前に投稿内容を確認できる場合は、広告の記載がきちんとなされているか確実にチェックをするようにしましょう。
ギフティングに関するよくある質問
最後に、ギフティングに関するよくある質問をまとめました。
Q.ギフティングは中小企業でも効果がある?
ギフティングは中小企業にも効果のあるPR施策です。ギフティングでは、依頼したインフルエンサーのフォロワーに商品・サービスを認知してもらうことができるので、認知が取れていない層にも幅広く知ってもらうことがでいます。そのため、ベンチャー企業から中小、大企業までその企業にとっても有効に働く施策になると考えられます。
Q.有償ギフティングの場合のインフルエンサーへの報酬はどのくらい?
インフルエンサーに直接依頼をする場合の報酬は大きく2つの体系があります。
1つは固定報酬制で「フォロワー数×単価(2~4円)」が相場です。例えば10万人フォロワーのインフルエンサーに依頼をする場合は20~40万ほどになる計算です。
2つ目は成果報酬制で、売上の〇%、1CVにつき〇〇円といった条件達成の成果に応じて報酬を支払う形です。報酬の目安は「売上の5~30%程度」が相場となっています。
ギフティングを上手く活用して認知拡大・売上向上につなげよう
本記事では、ギフティングの意味やメリット・デメリット、導入の流れ、注意点などをご紹介してきました。ギフティングは上手く活用できれば、認知拡大・売上向上につながるとても有効な施策となります。ご紹介した流れやポイントを参考に早速実践をしてみましょう。
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