SNSやインターネットが普及した今、広告のクリエイティブにおいて炎上リスクは見過ごせない課題です。実際、社内チェックを通過した広告でも炎上に繋がったケースが後を絶ちません。それは、従来のクリエイティブチェック体制では炎上リスクを十分に考慮していないためです。
品質担保だけでは不十分な時代、炎上リスクを念頭に置いたクリエイティブチェックに移行する必要があります。本記事では、なぜクリエイティブチェックに炎上対策を取り入れるべきか、その理由と方法を具体例と共に解説します。
目次
クリエイティブチェックに『炎上対策の視点』を付け加えよ
クリエイティブチェックとは、設定された基準やブランドガイドラインを満たしたクリエイティブになっているかを確認するプロセスを指します。本来はクオリティーを担保するために行うものという認識がありますが、今の時代はそれでは不十分です。
SNS炎上がおきてしまうと、ブランドイメージの低下、株価の下落、不買運動、売上の減少、サジェスト汚染、離職率の増加、採用の停滞、さらには事業継続の危機にまで発展する可能性があります。これらの影響は、企業の信頼やブランド価値を長期間にわたり損なう深刻なリスクです。
だからこそ、炎上を防ぐ第一の壁の意味も付け加えて、炎上対策視点を持ったクリエイティブチェック に進化させていく必要があるのです。
クリエイティブチェックの不足がおこした炎上事例
JR大阪駅での麻雀ゲームとアニメのコラボ広告
麻雀ゲームとアニメがコラボした広告ポスターを「性的表現だ」と問題視した議員の投稿が議論の発端となり炎上しました。
問題点
- ✓露出度の高い女性キャラクターが描かれており、女性蔑視と捉えられた
- ✓性的な表現ともとれるクリエイティブ
- ✓子供も利用するターミナル駅での広告
- ✓ゲームではあるが麻雀というギャンブルを大々的に駅で広告したこと
生成AIを使用した着物イベント広告
AIで作られた着物のようなものを着た女性キャラクターが、日本の着物文化を侮辱しているのではと問題視され炎上しました。
問題点
- ✓生成AIは情報の真偽を疑わず学習するため、存在しない情報や偽コンテンツを生成してしまう可能性がある
- ✓着物が左前で死に装束になっており、日本の着物文化を無視している
- ✓複数人でチェックし阻止するべきだった
炎上リスク視点も兼ね備えたクリエイティブチェック
SNSは様々な価値観を持つ人が利用しており、万人受けするようなコンテンツは存在しません。予想できるネガティブな意見(炎上リスク)も考慮しながらレビューする多角的な視点を持つことが重要です。
1.想定されるターゲット以外が見た時の印象をシュミレーション
SNS炎上はターゲット以外の層から問題視され、その投稿がSNS炎上の発端になるケースが多いです。その際に出そうなネガティブな意見はどのようなものがあるか考えてみましょう。
2.複数人&部署横断によるチェックフローを構築
ジェネレーション、性別、文化的背景の異なる複数人でのチェック体制を構築しましょう。あらゆる炎上シナリオを想像しながらレビューすることは炎上リスクを下げることに繋がります。
3.文言・ビジュアルチェック
誤解を招く可能性のある言葉やデザインは排除しましょう。 歴史的な悲劇を想起させたり、マイノリティを揶揄するものと捉えられる可能性がないか確認しましょう。
4.投稿タイミングのチェック
過去に大きな災害や歴史的な事件など犠牲者が多くでてしまった日に、通常通りのテンションで投稿してしまうと、不謹慎狩りのターゲットとなり炎上リスクが高まります。投稿予定日が投稿注意日に当たらないかをSNS投稿注意日カレンダーでチェックし、その日の投稿を避けるか、事件を想起させるワードなどを避けるなどして配慮した投稿をしましょう。
また、深夜に投稿が行われた場合「深夜まで残業をさせているのか?」などと、不要な疑念を抱かせる可能性があるので注意しましょう。
炎上リスク観点のクリエイティブチェックリスト
項目 | 具体的なチェックポイント |
---|---|
文言 | ・差別的なニュアンスが含まれていないか ・女性蔑視、ジェンダー概念の押しつけはないか ・ユーザーを欺くような、不快に感じられる要素はないか |
デザイン | ・視覚的なメッセージがネガティブに解釈される可能性はないか ・あらゆる世代の人が目にする可能性も含めて確認できたか ・一部を切り取られたときに、本来の意味と異なる捉え方をされる懸念はないか |
タイミング | ・炎上注意日や時間に投稿されないか ・炎上注意日の場合、事件を想起させるような文言は入っていないか |
予想される反応 | ・予想されるネガティブな意見を洗い出し、その反応が出た際の対応まで思い描けたか ・想定外の層から反発を受けるリスクはないか |
確認フロー | ・複数人でレビューを行ったか |
まとめ
SNSが浸透した現代において、炎上リスクを防ぐ視点を取り入れたクリエイティブチェックは必須です。多様な視点と慎重なレビューを行い、事前にリスクを洗い出すことで、ブランド価値を守りながらマーケティング活動を進めることができます。
また、大規模なキャンペーンであったり社会問題やセンシティブなものに切り込むような攻めたプロモーションをする場合ほど、社外の専門業者を入れてあらゆる炎上リスクを洗い出したうえでマーケティング活動をするべきです。
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