災害時 企業SNS運用ルールと「不謹慎狩り」を防ぐ方法

日本では地震、津波、台風、水害などの自然災害が頻繁に発生します。その際、SNSは被災者支援や重要情報共有の場として役立つ一方、企業アカウントが不適切な投稿を行うと「不謹慎狩り」による批判や炎上のリスクが高まります。

本記事では、企業が災害時にSNS運用で直面するリスクを解説し、「不謹慎狩り」を防ぐための具体的なルールや成功事例を交えながら、適切な対応策を紹介します。

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災害時における企業SNS運用のリスク

「不謹慎狩り」とは

災害時や社会を揺るがす事件が発生した際、企業や著名人が平常運転でSNS投稿をしてしまうと「被災者に配慮しておらず不謹慎だ」と見なされ、世間から過剰に批判される現象を「不謹慎狩り」と呼びます。

予約投稿でSNSを運用している企業は、災害が発生したらなるべく早く投稿予約を解除しなければ不謹慎なタイミングで配信され不謹慎狩りのターゲットとなるので、「このような非常事態になったら、すぐにSNSでの発信を停止する」など投稿を停止する災害レベルをあらかじめルール化しておく必要があるでしょう。

不謹慎狩りによる炎上例

不謹慎狩りによる炎上例

リスク回避のポイント

  • 投稿内容を公開前に複数人で慎重に確認する
  • 社内で「災害時の公開停止基準」を明確化しておく

災害時に投稿を停止すべき基準と対応策

投稿停止が必要な災害レベル

企業SNSが災害時に投稿を停止すべき具体例は以下の通りです。

  • 死者・避難者が出ている災害が報道された場合

対応策:即時の投稿停止フロー

災害発生を確認後、予約投稿や自動投稿を速やかに停止
社内で投稿停止ルールを共有し、迅速な対応が可能な体制を整備する

災害時に役立つ投稿内容への切り替え

災害時は被災者の情報収集を妨げるような余計な情報発信は慎むべきです。災害時には通常運用を停止し、被災者や社会に役立つ情報を発信することを検討しましょう。

被災者にとって有益な情報発信の例

被災者にとって有益な情報発信の例 自社製品の災害時活用法 被災地支援の取り組み 支援物資のお知らせ 公共機関や政府からの防災かんれんじょうほうの連絡

投稿時の注意点

  • 災害の状況に配慮したトーンで発信する
  • 不吉な言葉や連想させる表現を避ける

震災時に有益な企業のSNS投稿例

旭化成ホームプロダクツ株式会社

旭化成ホームプロダクツのアカウントでは、災害時に使えるサランラップの活用法を紹介していました。

アイリスオーヤマ株式会社

アイリスオーヤマのアカウントでは、被災地を支援するための物資を提供することを報告していました。

株式会社LIXIL

LIXILのアカウントでは、断水時のトイレの流し方など震災時に役立つ情報を投稿していました。

自粛していた企業SNSを再開するタイミング

いったんストップした企業SNSをいつ再開するか見極めるのも難しいところですが、再開の判断基準の例としては下記があります。

災害後の投稿再開を判断する際のポイント

  • 政府や自治体が被害収束を公式に発表した場合
  • 気象警報やライフライン(電気・水道・ガス)が復旧した場合
  • 被災地のライフライン(電気・水道・ガス)が復旧した場合

また、他社のSNS再開タイミングとユーザーの反応を確かめて慎重に再開時期を検討するのもよいでしょう。ただし、復旧直後から通常通りの投稿を行って良いというわけではありません。被災して困っている人、日常が送れない人がいることを前提にメッセージを考えてください。

被災者へ送るお見舞い文

世間が落ち着きを取り戻し、SNS再開後の最初の投稿は、被災された方にお見舞いの言葉を伝える投稿が目立ちました。再開するときは、いきなり新商品やキャンペーン情報などの広報内容でない方がよいでしょう。 新型コロナウイルス感染症が猛威をふるっていた頃は、医療従事者への感謝をあらわすメッセージを配信する企業もみられました。

お見舞い文テンプレート

この度の〇〇災害により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
また、被災された皆様の生活が、一日も早く平穏を取り戻されますようお祈りいたします。
この度の〇〇災害により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
被害を受けられた皆様には、謹んでお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧をお祈りいたします。
この度の〇〇地方で発生した〇〇地震により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
なお、弊社ではこの度の災害にあたり、支援物資の手配を行っております。
微力ながら復興の一助となるよう、活動してまいります。

SNS運用は投稿注意日を考慮しながら行うべき

大きな災害や歴史的な事件など犠牲者が多数出てしまった日に投稿をすることも不謹慎狩りのターゲットになりやすく炎上注意です。たとえ過去の話だったとしても大切な家族を亡くしたり、住む場所を失ったり、心の傷を抱えた人たちが大勢いますので、そのような日にはお祝いをする投稿や災害を想起させるような投稿はしないようにしましょう。

SNS運用担当者は事前に災害や歴史的な事件の日を記した投稿注意日も考慮したうえで、その日の投稿を避けるか配慮した投稿をしましょう。

炎上に注意すべき日の一例

日付出来事注意すべき投稿内容
1月1日  能登半島地震
(2024年)
今年は地震にも強い家具を!新年特別セール開催中!

震災災害の被害を軽視したように受け取られる可能性がある
1月17日阪神淡路大震災
(1995年)
揺れる大切な瞬間に安心感を。○○商品で心地よい夜を。

揺れるという言葉が地震を想起させ、不快感を与える可能性がある。
3月11日東日本大震災
(2011年)
震えるおいしさ!新発売の○○ドリンク!

「震える」という表現が津波や地震を連想させる可能性が高い。
4月19日池袋暴走事故
(2019年)
スピード感あふれるライフスタイルをサポート!新作自転車が登場!

「スピード感」というフレーズが交通事故を連想させ、被害者感情に配慮が欠けると判断される可能性がある。
7月3日熱海市伊豆山土石流災害
(2021年)
この夏の雨にも安心!○○防水靴でアクティブな生活を。

豪雨災害を連想させる内容で、被災者に対して配慮不足と感じられる可能性がある。
7月8日安倍元首相銃撃事件
(2022年)
ターゲットを狙い撃ち!○○プロモーションで成果を上げよう。

「狙い撃ち」という言葉が銃撃事件を連想させ、不適切と判断される可能性が高い。
8月6日広島原爆投下
(1945年)
エネルギー爆発!夏を元気にするサプリが新登場!

「爆発」という言葉が原爆を連想させる可能性があり、不謹慎だと受け取られるリスクがある。
8月9日長崎原爆投下
(1945年)
再び注目を集める○○アイテム。お得な価格で提供中!

「再び」という言葉が「二度目の悲劇」を連想させるため、不快感を与える可能性がある。
8月15日終戦記念日
(1945年)
戦う毎日に打ち勝つエネルギー補給!○○ドリンクで夏を乗り切ろう。

「戦う」という言葉が戦争を連想させ終戦記念日には不適切と判断される場合がある。
9月11日アメリカ同時多発テロ
(2001年)
高層ビルのような○○タワーケーキで特別な記念日を祝おう!

「高層ビル」という表現がテロの象徴的なイメージと結びつき、不快感を与える可能性がある。

投稿注意日に発生した炎上例

炎上注意日に発生した炎上例

不謹慎狩りを避けるためのチェックリスト

  • 投稿が被災者の心情を損ねる内容ではないかチェックする
  • 「死」「苦」「滅」など不吉な言葉を避ける
  • 災害や事件を想起させる特定の日付を考慮する
  • 被災者児へのお見舞いや社会貢献の情報をお見舞い文テンプレートを参考に発信する

まとめ

災害時の企業SNS運用で最も重要なのは以下の3点です。

  • 1. 投稿停止基準の明確化と迅速な対応
  • 2. 不謹慎狩りを防ぐための事前チェックと配慮ある言葉選び
  • 3. 再開時にはお見舞いや支援のメッセージを優先する

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