インフルエンサーが人気を博し、SNSでも強い影響力を持っている昨今、企業がインフルエンサーとタッグを組んで投稿する「タイアップ投稿」が増えています。インフルエンサーのフォロワーに広く認知を拡大することができることはもちろん、ステマ規制を背景に、対価が発生している「広告」であると示すことが求められている今、企業にとってメリットの大きい施策です。
本記事では、タイアップ投稿の使い方やメリット・デメリット、またインフルエンサーの選定ポイントなどをご紹介していきます。
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目次
Instagramのタイアップ投稿(ブランドコンテンツ)とは?
「タイアップ投稿」とは、Instagramの「ブランドコンテンツツール」を利用し、企業(広告主)とインフルエンサーが協力して作成をした投稿様式の一つを指します。企業(広告主)がインフルエンサーにPRを依頼する際に、企業とインフルエンサーとの間に金銭が発生していることを示すものでもあります。
でも、わざわざタイアップ投稿をしなくても「#PR」「#広告」とハッシュタグを付ければ良いのでは…?と思う方も少なくないはずです。数年前であればそのような投稿でも問題がなかったのですが、2023年10月にステルスマーケティング(ステマ)規制が行われ、投稿に対価が発生している(広告・PR目的)にも関わらず、それを明示していない(わかりにくい)場合はステマ違反に該当することになりました。このような背景からInstagramでもハッシュタグによるPRを非推奨としています。
そのため、タイアップ投稿を含む「ブランドコンテンツ」を積極的に活用して、企業とインフルエンサーとの関係を明確にしながら発信を行っていく必要があります。
ブランドコンテンツには2種類
そんなブランドコンテンツには、「タイアップ投稿」を含め2種類あります。
1.「タイアップ投稿」と表示されるタイアップ投稿
タイアップ投稿は、インフルエンサーの投稿で企業の商品やサービスのPRを行うものです。企業側は自社の投稿として扱わないので、PRはインフルエンサーのフォロワーに届きます。
タイアップ投稿として投稿したものは、この後に紹介するブランドコンテンツ広告として利用することもできるようになります。
2.「広告」と表示されるブランドコンテンツ広告
ブランドコンテンツ広告は、企業がインフルエンサーの投稿を自社のクリエイティブとして使い、宣伝を行うものです。こちらはInstagram広告なので、フォロワーに限らず幅広いユーザーにリーチすることができます。
このブランドコンテンツ広告を使えば、「広告」と表示されるため企業とインフルエンサーの関係性を明示することができ、ステマ対策にもなります。
タイアップ投稿のやり方
ではここから、ブランドコンテンツ「タイアップ投稿」のやり方をご紹介していきます。タイアップ投稿をするにあたって、企業側とインフルエンサー側の両方で設定を行う必要があります。それぞれご紹介していきます。
企業側が行う設定
まず事前準備として、ブランドコンテンツ投稿をするためにアカウントを「プロアカウント」に設定しておく必要があります。クリエイターアカウントでも投稿はできますが、分析機能やInstagram広告などが使えるので「プロアカウント」にしておきましょう。アカウントの設定が完了したら、以下の手順で設定を進めていきます。
- 1.プロフィール画面→「設定」を選択
- 2.「ビジネス」(またはクリエイター※クリエイターアカウントの場合)を選択
- 3.「ブランドコンテンツ」を選択
- 4.「コンテンツクリエイターを承認」を選択
- 5.インフルエンサーを検索し、アカウントを承認する
事前に承認を行っておかなくても、投稿のタイミングで都度インフルエンサーからのリクエスト承認を行えば、タイアップ投稿をすることは可能です。ですが、毎回承認する手間を省くためにも事前に設定をしておくことをおすすめします。
インフルエンサー側が行う設定
次にインフルエンサー側の設定をご紹介します。
- 1.通常通りに投稿を作成する
- 2.キャプション入力画面の「タイアップ投稿ラベルを追加」を選択
- 3.ブランドパートナーを追加する(企業側の承認が出来ていない場合はリクエストを送信)
- 4.タイアップ投稿が完了
初めてタイアップ投稿をする場合には、ブランドコンテンツツールの設定画面が表示されることがあります。マイページの【プロフェッショナルダッシュボード】>【ブランドコンテンツ】>【ブランドコンテンツツールを設定】>【有効にする】でタイアップ投稿ができるようになります。
タイアップ投稿のインサイトはどこから見られる?
ブランドコンテンツとして投稿すると、インフルエンサーの投稿のインサイトを見ることができます。ブランドコンテンツのインサイトはInstagramと連携したFacebookページの「Metaブランドコラボマネージャー」のインサイトからチェックすることができます。インフルエンサーごとの数値を分析しながら、自社のブランディングに合うインフルエンサーを選定していきましょう。
タイアップ投稿のメリット・デメリット
ではここで、タイアップ投稿のメリットとデメリットをご紹介していきます。
タイアップ投稿のメリット
1.インフルエンサーのフォロワーにも広くリーチできる
タイアップ投稿の大きなメリットは、フォロワーの多いインフルエンサーがPRを行ってくれる点です。インフルエンサーは強い影響力を持っているので、まだ企業がリーチ出来ていないような潜在層にまで情報を届けてくれます。
2.広告利用ができる
ブランドコンテンツツールを使って投稿した「タイアップ投稿」は、そのままブランドコンテンツ広告(Instagram広告)としても使えるようになります。広告として利用すれば、インフルエンサーのフォロワーに限らず、幅広いユーザーに見てもらうことができます。
3.コンテンツの信頼性が上がる
ブランドコンテンツとして投稿することで、ユーザーやファンに対して「企業とインフルエンサー間で対価が発生している=広告である」ということを伝えることができます。
繰り返しになりますが、対価が発生している投稿にも関わらずそれを明示していないと、ステルスマーケティング(ステマ)に該当し、信頼性を損なう可能性があります。そんなリスクを回避するためにも、ブランドコンテンツとして明確に示していきましょう。
タイアップ投稿のデメリット
炎上リスクが伴う
SNS炎上はタイアップ投稿だから起こる、というわけではありませんが、インフルエンサーとタイアップをすることにより炎上リスクが増えます。
- ☑タイアップしたインフルエンサーが不祥事を起こしてニュースになってしまった
- ☑タイアップしたインフルエンサーが不適切発言・行動を起こしてSNSで炎上してしまった
- ☑インフルエンサーとブランドのミスマッチから、タイアップ投稿が炎上してしまう
以上のように炎上が起こってしまうと、投稿を取り下げなくてはならない事態になり、広告効果が落ちてしまう可能性もあります。このようなことがなるべく起こらないようにするには、インフルエンサーの選定を丁寧に行っていく必要があります。
インフルエンサー起用の選定ポイント
タイアップ投稿で効果を出すためにも、炎上リスクを未然に防ぐためにも、インフルエンサーの選定は大きなカギになります。ここで、インフルエンサーの選定ポイントをご紹介していきます。
1. ブランドイメージと合っているか
商品やサービスのイメージとインフルエンサーのイメージにズレがあると、炎上の原因となることもあります。実際、既存ファンから反感を買い、ファンが離脱してしまうといったケースもあります。
今後のブランドイメージに関わる人選になるので、フォロワーの多さだけで判断をせず、「ブランドイメージに合っているかどうか」を基準に慎重に判断していきましょう。
2.既存顧客・ターゲットとインフルエンサーのフォロワーにズレがないか
インフルエンサーの選定にあたっては、インフルエンサー自身よりも「インフルエンサーのフォロワーにどんな人たちがいるのか」を見ておく必要があります。
例えば、化粧品をタイアップ投稿でPRしたいと考え、20代女性インフルエンサーに依頼をしたとします。しかしふたを開けてみたら、フォロワーの中には女性もいるが、その半数が男性のファンだった、ということもあります。そうなると、化粧品のPRを行っても購入に繋がりにくくなります。
タイアップ投稿ではインフルエンサーのフォロワーが対象になるため、商品やサービスが受け入れられそうな人たちであるのかどうか、丁寧に見定めていく必要があります。
3.不祥事や不適切発言・行動などのリスクがないかどうか
タイアップしたインフルエンサーが不祥事や不適切発言・行動などを起こしてしまうと、プロモーションに影響が出たり、投稿を取り下げるなどの対応を取らなくてはならなくなります。
過去の不祥事や不適切発言・行動であっても、掘り返されて炎上してしまう可能性があるので、選定の段階である程度チェックを行っておくと安心です。
タイアップ投稿を始める前にやっておくべきこと3選
では最後に、タイアップ投稿を始める前にやっておくべきことを3つご紹介します。
1.インフルエンサーの経歴を事前チェックしておく
まずはインフルエンサーの経歴を事前チェックを行い、慎重に選定を行いましょう。「フォロワー数」や「影響力」など見えるものだけで判断をせず、リスクとなりうるものも把握をしておくことで、安全にプロモーションを行うことができます。
2.コンテンツのクリエイティブチェックを行う
インフルエンサーが決まり、タイアップ投稿の作成まで進んだら、コンテンツのクリエイティブチェックを行いましょう。インフルエンサーに一任せずに、「炎上リスクはないか」「ブランドイメージとの相違・ズレはないか」など事前に社内でチェックを行うことで、炎上リスクを防ぐことに繋がります。
SNSは様々な属性の方が利用をしているため、なるべく社内で様々な立場(男女、年齢、出生地など)の方から意見をもらえるようなチェック体制を整えておくことが重要です。また都度ここまでの確認が難しい場合は、SNS運用マニュアルを作成し、それに則ってクリエイティブチェックを行うのも一つです。
3.万が一炎上してしまった際のフローを作成しておく
万が一炎上してしまった時のフローを作成しておくことで、心置きなくプロモーションを行えるようになります。
- ☑炎上時の初期対応
- ☑炎上時の相談・報告フロー
- ☑インフルエンサーへの対応
など、事前にマニュアル化をしておくことで、炎上が起こってしまった際も慌てずに対応することができます。
タイアップ投稿を活用して効果的なPRをしよう!
本記事では、Instagramの「タイアップ投稿」について、使い方やメリット・デメリット、インフルエンサーの選定ポイントなどをご紹介してきました。タイアップ投稿を活用することで、今までよりも広く多くのユーザーにリーチでき、プロモーション効果を見込むことができます。炎上リスク対策も合わせて行い、効果的なPR活動に役立ててください。
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