昨今のSNS利用拡大の中で、採用やブランディング、広報などの場面でSNSを活用している企業様もかなり増えてきました。ですが一方で、SNSはその影響力・拡散力から企業に与えるマイナスな影響も小さくなく、事前対策として、SNS運用担当者や社員に向けたSNSリスク研修を行う企業も増えています。
本記事では、そんな社員向けのSNSリスク研修を行うにあたって、具体的な研修内容や実施方法、実施までの流れをご紹介しています。ぜひ参考にしていただき、今後のSNSリスク研修にお役立てください。
「実際にこれから自社で行う研修の企画を進めていきたい」「他社の事例などを参考に、自社で行うSNS研修のイメージをより膨らませたい」という方は、ジールコミュニケーションズが開催するセミナー「SNS教育のイロハ」もおすすめです。ぜひ本記事と合わせて、今後のSNS活用にお役立て下さい。
目次
社員向けSNS研修を行うべき3つの理由
これから研修を行っていくにあたり、社員に当事者意識を持って研修を聞いてもらうには「なぜ研修を行わなければならないか」を理解してもらう必要があります。そのためここでまずは、社員向けSNS研修を行うべき3つの理由をご紹介します。
1. 公式SNSでの炎上リスクが大きい
企業でSNSが導入され始め、公式SNSから炎上が発生する事案がここ数年で増えています。公式SNSで炎上が起こると、企業のブランドイメージに傷が付いたり、風評被害から売り上げが落ちたりと、炎上後のさまざまな対応に追われることとなります。SNS運用担当者は、特に炎上リスクをしっかり理解した上で運用をしてもらう必要があります。
2. 社員個人のSNS炎上にも注意
注意が必要なのは公式SNSだけではありません。社員が個人のSNSアカウントを使って不適切投稿をし、所属している会社を特定されることで炎上するケースもあります。会社の内部情報や顧客の個人情報を投稿してしまうようなケースもあるので、改めて社員個人に向けてSNS利用について研修を行う必要があります。
3. お客様の口コミが炎上の火種になることも
SNSでの炎上は単に公式アカウントや社員個人のアカウントだけではありません。お客様の口コミが炎上の火種になり、SNS炎上や風評被害に繋がってしまうということも考えられます。
口コミによる炎上は顧客対応やお客様の反応次第ではありますが、このような偶発的なリスクが発生しうることを社員に周知した上で、丁寧に業務にあたっていく必要があります。
SNS研修で教えるべき内容とポイント
では実際にSNS研修の中で教えるべき内容とポイントについて、研修の対象別に解説していきます。
1. SNS運用担当者向け
SNS運用担当者は誰よりも炎上リスクについて理解し、慎重に運用を行わなければなりません。より深く具体的な内容に踏み込んで研修を行う必要があります。
- SNS運用担当者向け研修内容
- ・各SNSの特性と起こりうるリスク
- ・ユーザーとコミュニケーションを取る際の注意点
- ・著作権違反、コンプライアンス違反に関する内容
- ・炎上の火種になりやすい内容
- ・SNSトラブルが起こった際の対処フロー
2. 新入社員向け
新入社員の世代は、すでにさまざまなSNSを使いこなしている人が多いので、SNSの基礎知識よりも社会人としてどのようにSNSを利用すべきなのかを伝えていくことが大切です。
- 新入社員向け研修内容
- ・実際の炎上事例を紹介し、どうしたら炎上を防げるかを新入社員同士で話し合う
- ・個人アカウントにおける注意事項を伝える
- ☑勤務先が特定できる情報を書き込まない
- ☑他人を誹謗中傷する内容を書き込まない
- ☑会社や業務に関する内容を公開しない など
3. 一般従業員向け
先ほどもご紹介した通り、社員個人のアカウントから不適切発言や個人情報の漏洩が起き、炎上に繋がるケースもあります。社会人としてある程度のリテラシーは持っている方が多いと思いますが、プライバシーの観点からも会社で個人のアカウントまで管理することはできないため、個人の判断に委ねられてしまいます。そのため、定期的に社員にSNS利用について研修を行い、リテラシーを高めておく試みが重要です。
- 一般社員向け研修内容
- ・社員個人アカウントにおける実際の炎上事例を紹介し、SNS利用についてどんなことを注意すべきか話し合う
- ・個人アカウントにおける注意事項を伝える
- ☑顧客情報や業務の内容などを発信しない
- ☑他人を不用意に誹謗中傷しない など
- ・拡散や個人情報特定のリスク
4. 役員・管理職向け
普段からSNSにあまりなじみのない世代も多く、デジタルネイティブ世代とのジェネレーションギャップが起きている企業も多いと思います。SNSを導入していない企業においてもSNS炎上リスクが起こりうる昨今の社会では、役員や管理職に付く社員が第一にSNSについて理解し、状況を把握しておかなければなりません。
- 管理職向け研修内容
- ・各SNSの特性と起こりうるリスク、掲示板等他の媒体との違い
- ・SNS炎上の流れと対策
- ・拡散や個人情報特定のリスク
- ・SNSでのハラスメントリスク
5. アルバイト・パート向け
アルバイトやパートを多く雇っている企業様も多いと思いますが。入れ替わりが激しかったり、学生が多かったりすると、SNS研修を行ってもなかなか当事者意識を持ってもらえないなど、効果が出にくいことがあります。その場合研修に工夫が必要です。
- アルバイト・パート向け研修内容
- ・仕事中や店内でのSNS利用にあたっての注意点
- ・短時間かつ、オンデマンドなどいつでも見られる方法で実施する
- ・当事者意識を持たせるようなリアルな事案を組み込んだ内容にする
SNS研修の実施方法
SNS研修を行うにあたって「どのように実施するか」もとても重要です。ここでは、SNS研修の実施方法をいくつかご紹介します。研修対象や内容、研修に割けるリソースなどを考慮し、最も合った実施方法を選択してみましょう。
1. 外部講師による研修
一つ目は外部講師による研修です。研修のニーズに応じて専門の講師に依頼をすれば、研修内容の企画や実施などの負担を減らして研修を実施できます。講師によっては、すり合わせをしながら研修内容を柔軟に組み合わせることができるので、後述するセミナー参加よりも自社ニーズに合った内容で実施することができます。
2. セミナー参加
自社で研修を行いたい内容を実際に実施しているセミナーがあれば、そのセミナーに参加してもらうのも一つです。研修のコストがぐっと抑えられるので、リソースをあまりかけられないという企業の方にはおすすめです。その一方で、自社の研修ニーズに合った内容のセミナーを探すのが難しいといったデメリットもあります。
3. オンライン動画による研修
入れ替わりの激しいアルバイトや業務委託の方などが多い企業では、研修の決まった時間を確保することが難しいという問題もあるかと思います。そんな場合は事前に録画した研修を配信するという方法がおすすめです。好きな時間に見られるオンデマンド形式だからこそ、「そもそも見てもらえない」「関心を持ってもらえない」ということも考えられるので、いかに自分事として見てもらえるか工夫する必要があります。
4. ワークショップ形式
時間や場所を確保して行えるという場合は、ワークショップ形式で研修を行うのもおすすめです。一方的に話すよりも、事例を一つ取り上げて「自分はどう感じたか」「どうすれば炎上を防げるのか」などを複数人で話し合うことで、理解が深まり当事者意識を持ってもらいやすくなります。
SNS研修を行うまでの流れ
ではここから、SNS研修を行う流れをご紹介していきます。
1. 自社のリスクを洗い出す
まずは自社のリスクを洗い出すことから始めましょう。食品メーカーであれば社員やアルバイトによる店内での不適切な行動、PRにインフルエンサーを起用している会社であればインフルエンサーのコンテンツ炎上の可能性など、企業に応じて起こりうるリスクやその重要性は大きく変わります。「自社であればどんなリスクが考えられるのか」を考えて洗い出し、研修プログラム内容の選定につなげていきます。
2. 自社に合った研修内容の選定と実施方法を決める
洗い出した自社リスクの中から、社員に理解をしておいてほしい内容を選定し、研修内容を決めましょう。その上で、講師は外部講師に依頼するかどうか、どんな形式で実施するか、などを実施対象や内容によって検討しましょう。
3. 研修を行い、アンケートを取って理解度を確認する
実際に研修を行ったら、アンケートをとって満足度や理解度を確認しましょう。「もっとこうした方がいい」「こんな内容も組み込んでほしい」などの意見があれば、次回以降の研修に生かし、より効果的なSNS研修を作り上げていきましょう。1回で理解してもらうことは難しいので、定期的に内容を変えて研修を行うなど工夫をしていくことが大切です。
SNS研修を行う上での注意点
ここまでSNS研修の実施方法や具体的な進め方についてご紹介してきました。最後に、SNS研修を行う上で注意しておきたいポイントをご紹介します。
1. 自社のリスクに応じた内容を組み込むことが大事
SNS研修をただ実施するだけでは知識を定着させることも難しく、形だけのSNS研修になってしまいます。繰り返しにはなりますが、一般的なSNSリスク研修ではなく「自社だったらどんなリスクが考えられるのか」から考えた内容を組み込んでいくことが大切です。
2. 最新のトレンドを組み込み、継続的に研修を行う
SNSのトレンドはとても移り変わりが激しいので、トレンドに応じた内容を組み込むこともポイントです。また一度の研修だけでは、トレンドの移り変わりに対応できないことはもちろんのこと、社員に定着させることも難しいので、プログラム内容を変えながら継続的に研修を行うことも重要です。
3. 自分事として捉えてもらえるように工夫する
せっかく研修を行っても社員に理解をしてもらえていなければ、SNSリスク防止にも繋がらず、元も子もありません。ワークショップ形式で話し合いながら理解を深める、研修後に理解度チェックを行うなど、研修を「自分事」として考えてもらえるような工夫をしながら研修を作っていきましょう。
4. 研修内容を一般化したマニュアル・ルールを作成する
社員にSNS利用のルールをより浸透させるために、研修の内容を反映させたSNS運用マニュアルやルールを作成することもおすすめです。マニュアルやルールを作成しておくことで、公式SNS運用時の炎上リスクをおさえることにつながったり、日ごろからSNS利用について意識を持てるようになったりと、リテラシー向上にも繋がります。
SNS研修で社員のリテラシーを図ろう
本記事では、社員向けSNSリスク研修の具体的な内容や実施方法、実施までの流れについてご紹介してきました。せっかくSNS研修を行っても、社員に理解をしてもらえなかったり、自分事として考えてもらえなければ意味がありません。
企画にあたって、「自社ならばどんな内容を社員に伝えておくべきか」また「どんなふうに実施すれば理解をしてもらえるのか」をしっかり詰めて、会社やそこで働く方にとってより有益なSNS研修になるように企画をしていってもらえたらと思います。
ジールコミュニケーションズが無料で開催するセミナー「SNS教育のイロハ」では、SNS研修プログラムの具体的な内容や、実施例・ケーススタディなどをご紹介していきます。ぜひ今後の自社でのSNS研修にぜひお役立てください。